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「倒れるのはそいつが悪いだけ。自己管理の問題だ」(MFS・井戸実社長)

 昨年、倒産に追い込まれた「ステーキけん」などを運営していたMFS(旧エムグラント・フードサービス)。28歳で同社を創業した井戸社長は「ロードサイドのハイエナ」をキャッチフレーズにメディアで引っ張りだことなっていたが、一方では「なぜ週40時間以上の労働が残業になるのか」と労働基準法そのものに噛みつく思想の持ち主だった。

※写真はイメージ ©️iStock.com

「死んでまえ」(大阪メトロ)

 昨年3月、大阪メトロの40代男性社員が、上司からのパワハラを受け社内で自殺。男性は上司から日常的に「死ね」などの人格を否定するような暴言を浴び、頭髪を丸刈りにするよう強要されるなどしていたという。

©️iStock.com

「年収100万円になるのも仕方ない」(柳井正・ファーストリテイリング代表取締役会長兼社長)

 アパレル大手「ユニクロ」を経営するファーストリテイリング社のトップ、柳井正会長が2013年に語った言葉である。

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 文脈としては、世界的な競争を勝ち抜くためには、賃金も海外の労働者と同じ水準にする必要がある、というものだが、最低賃金を下回る労働環境を「仕方ない」というのは、さすがに労働者の権利を無視した暴論でしかないだろう。

 事実、当時のユニクロは、3年間で半数近い新卒が辞めてしまうほど苛烈な職場で、執行役員で柳井氏の右腕と評されていた人物が、過去に社員に対してこんな言葉を口にしていたことも話題になった。

「いいかげんにせいよ、オマエ。おー、何考えてるんかこりゃあ。ぶち殺そうかオマエ。調子に乗るなよ、オマエ」

 ちなみにこの人物はその後も順調に出世を続け、現在はファーストリテイリングの常勤監査役となっている。

柳井正会長兼社長

 その後、柳井会長はたびたび公の場で「当社はブラック企業ではない」と主張しているが、果たしてどれだけ改善されているのか。1年間ユニクロに社員として潜入したジャーナリスト・横田増生氏が2017年に発表したルポによれば、現場の「やりがい搾取」は変わっておらず、勤務環境の改善は道半ばということのようだ。