昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

吉本会見 なぜ岡本社長は「失敗」し、宮迫・亮は「成功」したのか――臨床心理士の分析

2019/07/23

 7月20日、雨上がり決死隊の宮迫博之さんと、ロンドンブーツ1号2号の田村亮さんが開いた会見と、それを受けて22日に行われた吉本興業の岡本昭彦社長の会見。前者を「成功」とするならば、後者は「失敗」と言わざるを得ないだろう。

吉本興業の岡本社長 ©吉田暁史

 振り返ると、いくつかの点でその違いが見えてくる。といっても、宮迫さんたちの会見は約2時間半、岡本社長の会見に至っては5時間半。長すぎる会見は誰にとってもマイナスにしかならない。

宮迫・亮の会見が成功した理由

20日に謝罪会見を行った宮迫・亮 ©文藝春秋

 まず宮迫さんたちの会見が「成功」したのは、聞き手や視聴者の感情を刺激したことにある。宮迫さんは、自分たちに起きたことを時系列に沿って分かりやすく整理し、シンプルな言葉で、聞きやすいテンポで話していた。声の大きさや抑揚がコントロールされていることで、聞いている側は、自ずと彼らの感情を想像してしまう。

「保身からくる軽率な嘘から始まっています。全責任は僕にあります」(宮迫)

 冒頭、前を見つめて大きく息をついた宮迫さんだが、会見中、彼が見つめていたのは空だった。記者たちとアイ・コンタクトを取らず淡々と話し続けたことで、かえって彼の中にある後悔や罪悪感を印象づけた。

空を見つめて話した宮迫 ©文藝春秋

つい手を差し伸べたくなる「アンダードッグ効果」

 先輩にも嘘をついたのかと問われた時は、言葉を詰まらせ、何度もマイクを口元に上げてはうつむき、項垂れた。

「もうお会いすることはできません」(宮迫)

「どういう風にしたら、こいつらがちゃんと謝れるのかを手伝って欲しかった」(田村亮)

号泣した亮 ©文藝春秋

 号泣する2人を見て、彼らが嘘をついていたことは一旦、横に置いて、かわいそうだと思った人は多いだろう。田村さんが実際に経験した感情を、臨場感を持って語ったことで、聞いている側は、より強い感情を刺激されることになる。また、このような情けなく弱みを見せる人、涙するかわいそうな人には、つい手を差し伸べたくなるのが人間である。この「アンダードッグ効果」という心理効果によって、視聴者は強く感情を揺さぶられることになった。