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吉本会見 なぜ岡本社長は「失敗」し、宮迫・亮は「成功」したのか――臨床心理士の分析

2019/07/23
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接続詞「ただ」の多用がマイナスの印象に

「クビにする力がある」と言ったかという質問には、標準語で怒ることはないため、そういう言い方はしないと答えた。多くの質問において、的を得た、わかりやすい答えが返ってこない。宮迫さんと亮さんと社長の言い分が食い違うのは、言葉や会話に対する社長の感覚のずれもあるだろう。

 また、会見で岡本社長は時おり、「ただ」という接続詞を使っていた。「ただ、本当はこうなんだ、事実はこうだ」と吉本や自分が置かれていた状況を釈明したいという気持ちが、その言葉に強く表れていたように思う。このような会見では接続詞の使い方だけでも、言い訳がましく聞こえてくるものだ。

聞き手側が「吉本は何も変わらない」という印象を持った理由

 また使った言葉の時制を見ていくと、過去形や現在形で話す事が多く、未来形で話すことが少なかった。説得の方法においては、過去形は非難や罰を印象づけ、現在形は価値観を、未来形は決断、選択や利益を表すといわれている時制の使い方だけでも、吉本が未来に向かっているという印象が薄くなった。

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©文藝春秋

 特に「思います」「思っています」という感情的な言い方が多く、「こうする」「こうしたい」という行動に移すような言い方が少なかったため、岡本社長も吉本も何も変わらない、動きがない感じが強くなった。

 1年間50%の減棒を発表し、辞任しない理由を聞かれると「うー」と答えに窮してしまう。絞り出すように「今の状況を変えるためにやりにいく」と前を向いて答えたが、「岡本さんにしかできないことは」と問い返されると、視線を横に向けて再び沈黙。

「みんなにあとで聞いておきます」(岡本社長)

 吉本はこの社長の下で変わっていけるのだろうか。

吉本会見 なぜ岡本社長は「失敗」し、宮迫・亮は「成功」したのか――臨床心理士の分析

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