「(宮迫博之の契約解除)処分を撤回させていただき、いつか2人とミーティングが出来るなら会社に戻ってきてもらいたい。そのときは全力でサポートさせて頂きます。宮迫くん、亮くんに対して芸人・タレントファーストを徹底できていなかったことを心からお詫び申し上げます。同じテーブルについて、最善の解決策を一から考えさせていただきたいと思います。

 社長として至らなかった責任として、50%の減俸を1年間続けることとします。会長の大崎も併せて一年間の減俸を続けさせて頂くことを報告いたします」

 7月22日、午後、吉本興業の岡本昭彦社長は記者会見を開き、こう謝罪した。19日に吉本から契約解除されていた宮迫博之は、20日に記者会見を開き岡本社長のパワハラ発言を暴露。その行為に世論や芸人から批判が集まり、とうとう社長自らが涙ながらに謝罪会見を開かざるをえない状況まで追い込まれた形だ。

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宮迫博之 ©文藝春秋

 ある吉本興業社員はこう漏らす。

「20日の宮迫さんの会見で、自分のトラブルが原因なのに、謝罪もそこそこに吉本興業を窮地に追い込むようなことを暴露し始めたのは社員としては納得がいかない所があります。一連の意志決定には大崎洋会長など様々な幹部が関わっていたはずなのに、岡本社長の名前だけをあげて攻撃したのにも意図的なものを感じた。

 感情表現や仕草を駆使して世論や芸人仲間の心を揺さぶったという点では、さすが宮迫さんは役者だったとはいえる。しかしあれは謝罪ではなく、完全に宮迫さんのクーデター会見でした」

舞台は闇営業問題から芸人VS吉本興業へ

 岡本社長のパワハラ問題を契機に、舞台は闇営業問題から芸人VS吉本興業という図式へと移行した。岡本社長も認めたように宮迫との和解や、再契約が進められる可能性も出てきた。不可能だと見られていた宮迫の芸能界復帰への道筋も見え始めたように見える。

会見を開いた岡本昭彦社長 ©共同通信社

 しかし、トラブルの根本にメスが入ったとは言いがたい。闇営業の実態から反社会的勢力との接点まで――、未だ解明されていない問題は多い。

 契約解除の引き金となったのが7月19日発売の「FRIDAY」に掲載された宮迫と金塊強奪犯の酒席写真だった。

 犯人が警察官に扮装する手口から“平成の3億円事件”とも呼ばれる、博多金塊強奪事件。この事件は実行犯らが逮捕された後も、多くの謎を残した事件として知られている。

 当稿では宮迫騒動まで飛び火した博多金塊強奪事件の残された「3つの謎」について検証していきたい。

謎1 強奪犯と宮迫の間に接点はあったのか

「警察、警察。それなに? 密輸の金が入っているんでしょ?」

 16年7月8日、福岡県・JR博多駅近くでビルの一階で会社役員が警官に声をかけられた。会社役員が目を離したすきに、彼が持っていたアタッシュケースが強奪された。じつは警官は偽者で、持ち去られた鞄の中には約7億6000万円相当の金塊が入っていた――。

『FRIDAY』に掲載された酒席写真には、事件の主犯格である野口和樹被告の姿がハッキリと確認できる。野口被告は同じく逮捕された兄・直樹被告と共に名古屋の有名な“半グレ”として知られ、和樹は前科3犯、直樹は前科5犯という札付きのワルだった。