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もしもガンダム世界に文藝春秋があったら――「ジオン公国軍地球方面軍司令 ガルマ・ザビ大佐 若き英雄の死の背後に“疑惑”あり」

2021/03/19

source : ノンフィクション出版

 人気アニメ「機動戦士ガンダム」シリーズ。5月に公開となる最新作『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』をはじめ、様々な作品が生み出され、第一作『機動戦士ガンダム』から始まった宇宙世紀は、『閃光のハサウェイ』で105年を迎える。

『証言「機動戦士ガンダム」文藝春秋が見た宇宙世紀100年 』(文春ムック)

 もし、文藝春秋がこの時代にあったなら――。

 一年戦争やグリプス戦役、第一次、第二次ネオ・ジオン戦争、ラプラス事変まで、宇宙世紀100年の歴史を文藝春秋ならではの、報道を覆す告白証言、そして衝撃のスクープで読み解くムック、『証言「機動戦士ガンダム」 文藝春秋が見た宇宙世紀100年』が話題だ。


 ここでは、同誌のなかから、シャアも関わる一年戦争のあの大事件を抜粋する。

 

ジオン公国軍地球方面軍司令 ガルマ・ザビ大佐 若き英雄の死の背後に“疑惑”あり

 

「愛されていたザビ家の末弟ガルマ・ザビは死んだ 。なぜだ?」そう問いたいのは兄ギレン総帥だけではないはず。ジオン公国軍地球方面軍を率いながら、たった1隻で「木馬」に特攻をしかけざるをえなかった最期には「ひとりの英雄を失った」という美辞麗句には覆いきれない謎が付きまとう。闇の中には、“赤い彗星”の影が浮かび上がる――。

◆◆◆

「ガルマ大佐は名誉の戦死だったといわれます。が、不可解な点が多すぎまして」。

 そんな裏事情を語るのは、かつて旧ジオン公国軍のニューヤーク占領区に勤務していた下士官のA氏だ。

 ザビ家の末弟であるガルマ・ザビ氏は、地球連邦軍の秘密兵器ともいわれる戦艦(通称「木馬」)を追撃するなか、シアトルにあるS3ポイントへ自ら指揮するガウ攻撃空母とともに出撃し、帰らぬ人となった。すでに国葬も行われ、兄であるギレン・ザビ総帥による見事な追悼演説も評判となっている。うがった見方をすれば「兄が弟の戦死を、国威発揚の道具にした」との解釈もできるわけだ。

『証言「機動戦士ガンダム」 文藝春秋が見た宇宙世紀100年』のカバー、カバー裏イラストは天神英貴氏によるもの。写真はカバー裏。

「“ザビ家の七光り”という陰口もありましたが、それを跳ね返すような戦果もあげていた人ですよ。あんな別れ方になるなんて……」。

 ガルマ氏と特別な関係にあったと噂のI嬢は泣き崩れて話す。「坊やだから」だとは到底思えないというのだ。

 その「事件」が起こったシアトル地域は、戦禍のため瓦礫の山となっており、当日はじゅうたん爆撃も降り注いでいた。が、望遠鏡での観測を日課にしていたH氏は、ガウの動きが明らかにおかしかったと話す。

「何か獲物を探し求めているようでした。それが急に火を噴き始め、慌てて反転しましたね」。

 今大戦ではレーダーは無力化されているため、敵の居場所を見誤って後ろを取られることは珍しくはない。が、初めガウの動きに迷いがなかったことから、逆になんらかの「ワナ」にかかった可能性がある――複数の軍事専門家がそう指摘している。