宇宙世紀に文藝春秋があったなら――。一年戦争をはじめとする宇宙世紀100年の歴史を、文藝春秋ならではの、報道を覆す告白証言、そして衝撃のスクープで読み解くムック『証言「機動戦士ガンダム」 文藝春秋が見た宇宙世紀100年』が話題だ。ここでは同書より、横浜に設立された「GUNDAM FACTORY YOKOHAMA」のGGCテクニカルディレクターである石井啓範氏のインタビューを紹介。ファン待望の“動くガンダム”の見どころに迫る。

証言「機動戦士ガンダム」文藝春秋が見た宇宙世紀100年』 (文春ムック)

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 横浜に設立された「GUNDAM FACTORY YOKOHAMA」。“動くガンダム”「RX-78F00」が、ついに起動した! このRX-78F00は、全24カ所(指を除く)の関節が可動するため、様々なポージングやモーションが実現可能だ。ファン待望の“動くガンダム”。どこがすごいのか。

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RX-78F00を格納し、メンテナンスワークを行うデッキを「GUNDAM-DOCK」という。向かって右側には特別観覧デッキ「GUNDAM-DOCK TOWER」が併設されている。

 その性能についてGGCテクニカルディレクター石井啓範氏が語る。

複数の関節を同時に動かすと「ロボット」から「生き物」に

 このRX-78F00は「いろいろな動きができる」ことがコンセプトです。いろいろな動きをできるような関節配置にしているので、可動する軸数が多いのが特徴ですね。全24カ所、指を加えてすべて同時に動かせます。

RX-78F00を、腰後部で支える支持台車「GUNDAM-CARRIER」。「台車部分は観覧デッキからのほうがよく見えます。台車部分もよく動くので、重機が動く醍醐味が味わえます」。(石井)

 人間がいわゆる「ロボット的動きをマネる」際は、細かく1カ所ずつ動かすことでロボットらしさを表現するように、動く関節が少ないと人は「ロボットっぽい」と認識します。ですから、本機もテスト段階で1カ所ずつ動かしながら確認している際には「人型の重機が動いている」と感じていました。ところが、複数の関節を同時に動かすようになると、途端に印象が大きく変わり、生き物らしく感じます。人が人というものをどう認識しているか……、と気づかされました。さながら巨人が動いているみたいで、違和感というか、畏怖に近い感覚を抱きますよ。

 いままでに体験したことのない気持ちになると思いますので、ぜひともライブで体験してもらいたいですね。

「実物大のガンダムのスケール感を体感してもらうのが今回のいちばんの狙いです。いろいろな動きができるので、来るたびに新しい発見があるかもしれません」。(石井)

 フレームを設計するうえでは、人間の体のバランスに近づけました。それが、もっとも動かしやすいバランスなんですね。また、風や地震によってガンダムが転倒することは絶対に避けなければいけません。そこで、ガンプラなどで採用されている展示用ベースに着想を得て、支持台車(GUNDAM-CARRIER)で支える方法を採用しました。『機動戦士ガンダム』の第1話では、ザクがガンダムに突き飛ばされて倒れますが、実物大のMS(モビルスーツ)が倒れるというのは、6階建てのビルが倒れるのと同じことなので、たいへんなことなんです。