昨今のお笑い界に旋風を巻き起こしている“第7世代”。
だが、時には巷で「人気先行で実力がない」という厳しい意見も聞こえてくる。確かに経験豊富な中堅芸人と同じ土俵に立つひな壇では、その存在感に圧倒されてしまっている姿を見かけることも多い。しかし、その第7世代の中で「隠れた実力派」とささやかれているコンビがいる。それが、きつねだ。
きつねは昭和歌謡とサンプラーを使ったエレクトロニカル・ダンス・ミュージック(EDM)を掛け合わせた独自の「パリピ漫才」で注目を浴び、最近は『有吉の壁』(日テレ系)の番組内で生まれた「KOUGU維新」というキャラクター芸で一気に知名度をあげた。工具を擬人化したユニットによるダサかっこいいダンスと歌が人気となり、昨年末にはミュージカル公演まで行うなど、人気を博している。そんな2人に、「パリピ漫才」、「KOUGU維新」のネタができるまでを余すことなく直撃した――。(全2回の1回目/#2を読む)
◆◆◆
KOUGU維新を最初やったときの感想は…「安堵」
――サンプラーを使った“パリピ漫才”、2.7次元アイドル“KOUGU維新”と次々とヒットさせて大活躍されていますね。周囲から声かけられたりすることも増えてきたんじゃないですか?
淡路 本当にありがたいことに、いろんな反響をもらえるようになりましたね。ただ、僕らはKOUGU維新のキャラとか、コントの衣装を着てることがほとんどなので、プライベートではまったく気が付かれませんね。
大津 ひげもアイライナーで描いてるので、ひげ落としたら全然わからないんでしょうね。私生活は本当に何も変わっていません(笑)。
――KOUGU維新のネタができたときは、やはり手応えはあったんでしょうか?
淡路 いや、できたときは特に手ごたえは…(笑)。
大津 僕ら、『有吉の壁』でKOUGU維新のネタをやる前に死ぬほどスベったんですよ。一世を風靡した芸人さんとコラボしてネタをやるっていうコーナーだったんですが、パペットマペットさんとやらしてもらって、それがまぁ~ウケなかった! なので、KOUGU維新を最初やったときも、ウケたんで「よかった~」っていう安堵感の方が大きかったですね。
「モノを擬人化するネタ」をやりたかった
――2.5次元をお笑いに取り入れるって、とても斬新な発想ですよね。どのような経緯でネタが生まれたんですか?
淡路 2.5次元のように何かモノを擬人化するってめちゃくちゃおもしろいアイディアだなっていうのはずっとあったんですよ。最初はおにぎりとかカレーの具でやる予定だったんですが、演出家の方と話してみて、「食材だとちょっと弱いな」ってなって。その時にふと思い出したのが、あるネタで使うために買ったニッパーが高額だったこと(笑)。それで「これだ!」と思って工具になったんです。