先日、とある取材で訪ねた温泉地に、旅館の若旦那5名が各地から集まっていた。中には以前から付き合いのあった若旦那もいたので、GoToトラベルキャンペーンが一時停止中の近況と、旅館の本音を聞いてみることにした。旅館組合幹事として気心知れた仲の5人は、今の率直な思いを語ってくれた。

A:客室20室程の小規模旅館を切り盛りする。若旦那たちの頼りになるまとめ役。

B:文化香る有名温泉地で素朴な郷土料理を提供する、老舗旅館の若旦那。

C:そぞろ歩きが楽しい温泉街のど真ん中に鎮座する、純和風の人気旅館の若旦那。

D:海沿いに位置し、客室からも大浴場からもオーシャンビューが楽しめる中規模旅館の若旦那。

E:共同湯巡りも楽しめる人気の温泉地で、江戸時代から続く老舗旅館を営む。25室程の比較的小さな旅館の若旦那。

男性風呂と女性風呂の暖簾を……

――昨年のGoToトラベルキャンペーン実施中には、客層が変わり、旅館マナーが崩壊しているとのエピソードを、全国の女将からよく聞きました。皆さんの旅館ではどうですか?

A:マナーの問題はGoTo以前からですね。旅館業を営んでおりますと、人には言いにくい話を持っているものなんです。

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一同:(笑いながら頷く)

A:例えば私の旅館では、全裸の男性が廊下にいて、男性風呂と女性風呂の暖簾をかけ替えようとしていたことがあります。たまたま私が通りかかって、驚いて、きつく注意したから良かったものの……。ホント、危うかったです。

――え、暖簾のかけ替えですか?

©️iStock.com

A:男性風呂に女性の暖簾を下げて、女性が間違えて入ってくるのを中で待とうとしたんだと思います。だいぶ酔っておられました。

C:それ、まずい! 

合宿中の“行動”で警察沙汰に

――お風呂がらみのトラブルは、他にもあるのでしょうか?

D:うちは、地元の高校生の合宿を受け入れた時に……。男子校と、女子校の合宿の日程がたまたま重なったものだから、男子生徒が女性風呂をスマホで盗撮してしまって。結局、警察を呼ぶことになり、あの時は大騒ぎでした。

A:いくらお客様でも、盗撮は犯罪だからねぇ。

B:うちは、露天風呂のすぐ上の部屋にいつも泊まる常連さんがいて、部屋のベランダにビール瓶を置いていたらしく、何かの拍子で、それが露天風呂に落ちてきたことがあって。たまたまお客さんがいなかったから誰にも怪我はなかったけど、危なかった。

C:その後、どうした?