いま旅館はどうしてる?
――コロナ禍で、GoToトラベルキャンペーンも停止中ですし、全国で休業している宿もたくさんありますよね。特に100室前後の大型旅館は、予約がひとけた台とか、飛び石で予約が入っても食材を余らせるし、維持費がかかるから休まざるを得ないと聞いたことがあります。皆さんの宿は営業していますか?
D:うちは正月明けからずっと休館にしています。もともと冬は閑散期で、コロナ前でも予約がない時は休館することもありました。それに、今は雇用調整助成金があるので。
E:うちは2週間、予約が入っていなければ休館します。
B:うちも月の半分は休館にして、雇用調整助成金を申請しています。お客さんが1人や2人だけでは、経費倒れになってしまうので。
E:昨年の10月中旬から11月中旬くらいは、GoTo効果で、たくさんお客さんがいらしてくれました。一方で、スタッフが疲弊しないように、あえて定休日を設けていた旅館も、わりとありましたね。
C:うちは営業してるよ! 1人でも、2人でも、予約が入れば営業するな。それは銀行への印象にも関わるからで、全く収入がないより、少しでもある方が銀行に対して印象がよくなるに決まってるから。それに休業すると、仕事を忘れてしまうよね。身体が動かなくなるっていうのかな。
ひとり客も大歓迎
A:昨年の緊急事態宣言中はずっと休業していたから、なんか、旅館の仕事の手順がすっと抜けていった。
一同:(頷く)
C:俺は、予約が入っていない時は温泉街でお客をキャッチしてる。シングルの部屋もあるから、ひとり客も大歓迎。イチ朝(一泊朝食付き)でもいい。うちはとにかく営業を続けるつもりです。
D:キャッチって、温泉街で声かけて、泊まってくれる?
C:4割の打率で泊まってくれるよ。声をかけるのも、顔見て選んでますから。カップルで名残惜しそうにしているとか。帰りかけの客の顔を見れば、一泊してくれそうかどうか、わかります。
一同:すげー、偉い!
A:この業界も、コロナの状況によって激しく変化してますね。宿泊業が社会悪のように叩かれたこともありましたし、閉館に追い込まれた宿も多くて、淘汰されました。その反面、一気に進化もしていて。ここで生き残れるのは、10年分の進化を成し遂げた旅館だけだと思います。私も社会情勢についていけるように、様々な改革をして、新たな旅館の形を目指します。