文春オンライン

「WHITE」の刺青を消しても気持ちは変わらず…バイデンの“公開処刑“を望むアメリカ極右集団のヤバい“思想”

米国最大の反政府過激団体、オース・キーパーズの正体

2021/03/16
note

 彼らが心待ちにする「嵐の日」には、トランプ大統領が返り咲き、バイデン大統領及びハリス副大統領、その他存命中の元大統領ら、現役政治家全員、報道関係者やなぜか芸能人までもが逮捕され、軍事裁判にかけられ、すぐさま全員がホワイト・ハウスの庭に設けられた処刑台で公開処刑となる。そして軍隊が政権を引き継ぎ、彼らは勝利するというのがシナリオだ。

1月6日、議事堂に乱入したアメリカ極右集団 ©AFLO

 あの日、1月6日に議事堂を襲ったトランプ元大統領の支持者たちは、真顔でこの説を訴えている。こんな現実味のない話にしがみつくほど、彼らは洗脳され、追い詰められ、行き場を無くした状態にある。これが最後のチャンス、この戦いに負けたらアメリカという国がなくなるという恐怖でまともな思考ができない状態にある。

 当然の如く、トランプ氏が大統領に返り咲くことはあり得ない。しかし彼らは待ち続ける。というわけで、一触即発の状態は続いて行く。

ADVERTISEMENT

「最悪は内戦」アメリカを悩ます反政府勢力の動き

 先日、次期司法長官に指名されているメリック・ガーランド判事の承認公聴会が開かれた。ガーランド氏は温厚な物腰ではあるが、ホームグロウン・テロリズム対策のベテランである。クリントン政権で司法副長官だったガーランド氏は、オクラホマシティ連邦政府ビル爆破事件(1995)やユナボマー事件(1996)、アトランタ五輪爆破テロ(1996)と連続して起きた米国史上最悪の国内テロの捜査を指揮した経験がある。公聴会で、「1月6日の議事堂襲撃事件についてどう考えているか」という質問に対し、ガーランド判事は「もし私が司法長官に任命されたなら、最優先事項として捜査を命じます。捜査は、司法省とFBIにとってこれまでにない最も大規模な捜査になるでしょう。これはアメリカ民主主義の根幹を揺るがす重大犯罪です」と述べた。

オース・キーパーズのFBI指名手配写真

 襲撃当日の朝、オース・キーパーズのメンバーがトランプ元大統領の側近中の側近を護衛している様子が映像に捉えられている。3月4日、トランプ元大統領に近い国務省の元職員が襲撃に参加したことで逮捕されている。複数の現役共和党議員、トランプ氏の長男が襲撃に加担した疑いを持たれている。ガーランド判事が承認され大規模捜査が始まったとすれば、捜査の手は早い段階でトランプ元大統領の周辺及び共和党内に伸びることは明らかだ。その時、今にも爆発しそうなほど興奮しているトランプ支持者やオース・キーパーズのような過激派らは、どのような行動に出るのだろうか。オース・キーパーズのメンバーには、いつ内戦が始まってもいいように飲料水、非常食、キャンプ用品、弾薬を買い込むように命令が出ているという。

 陰謀説を主軸とする反政府活動とトランプ支持者たち。そこに白人至上主義団体や今の社会に不満を持ったあらゆる米国人が便乗し、さらにトランプ元大統領が彼ら全員を巧みに操り利用する。これがこの先しばらく米国政府を悩ます最大の不安定材料である。

「WHITE」の刺青を消しても気持ちは変わらず…バイデンの“公開処刑“を望むアメリカ極右集団のヤバい“思想”

X(旧Twitter)をフォローして最新記事をいち早く読もう

文春オンラインをフォロー