文春オンライン

「WHITE」の刺青を消しても気持ちは変わらず…バイデンの“公開処刑“を望むアメリカ極右集団のヤバい“思想”

米国最大の反政府過激団体、オース・キーパーズの正体

2021/03/16
note

 彼らはトランプ元大統領が就任した直後から、「我々の思想を理解する真の大統領」として全面的に支持をしていた。議事堂乱入事件直後から、司法省とFBIが危機感を持って最優先でオース・キーパーズを捜査しているのは、このトランプ元大統領に対する過剰なまでの思い入れと、小さな国並みの量の武器を隠し持っているとされている事が理由である。

防弾チョッキ、武装した予備軍 ── 周到に準備された議事堂襲撃

 議事堂襲撃当日は、ローズ自らが乱入を指揮していたことがわかっている。暗号化されたチャットを使い、メンバーらに侵入経路を指示しつつ、全体の状況を逐一報告していた。一部のニュース映像には、軍隊式のフォーメーションで列をなし、議事堂に突破侵入する数人のメンバーが捉えられている。

©iStock.com

 さらには、ワシントンDC市内に銃砲が持ち込み禁止のため、ポトマック川の対岸バージニア州に銃砲で武装した予備軍を待機させていた。ローズは、いざとなったら予備軍をフェリーで送り込もうと計画していた。これはオース・キーパーズがかなり前から襲撃を計画し、全面的な衝突となった場合は団体をあげて戦い抜こうとしていたことを示している。

ADVERTISEMENT

 すでにローズ以外のリーダー格9人が逮捕された。逮捕された実行犯らは当日軍服に身を包み、防弾チョッキにヘルメット、手には棍棒という完全装備で目立ったため、早い逮捕に繋がった。リーダー格以外のメンバーは、当日平服で武器を持たずに参加するように指示されていた。そのため議会襲撃に関与した、一説には数百とも数千とも言われている「オース・キーパーズ」のメンバーはそれぞれ地元に戻り、次の襲撃に向けて準備をしているとされている。

オース・キーパーズのFBI指名手配写真

「オース・キーパーズ」をはじめトランプ元大統領を盲信する人たちは、未だにトランプ氏が大統領に返り咲くと信じ続けている。トランプ氏が戒厳令を宣言し、軍隊に守られる中、再び大統領の座につき全面戦争が始まる、というのが彼らのシナリオだ。その日を「嵐の日」と呼んでいる。

反対派は全て粛清、トランプ大統領が返り咲く「嵐の日」のシナリオ

 最初は3月4日だと予告していた。3月4日は、現在の大統領就任式の日程(1月20日)に変わる以前の就任式の日程だった。こじつけに過ぎないが、トランプ氏のサポーターたちは、本気でその噂にしがみついていた。しかし3月4日が何もなく過ぎると、今度は3月20日だと言い出した。3月20日は、共和党が創設された記念日に当たる。具体的な日時を予告するのは得策ではないと考え始めた一部のサポーターたちは、「実はトランプ氏は未だに元大統領として陰で国の指揮を執り、来たる全面戦争の準備をしている。バイデン大統領は、実はトランプ氏が操るサイボーグ人間」という荒唐無稽な説を流している。