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名誉殺人で生きたまま燃やされた女性も

 ロイター通信は、2021年2月に異なる宗教間の男女が関係をもったことを理由に、インドで女性が家族に生きたまま燃やされたという事件も紹介している。2019年にも、インドでカーストの異なる男女が周囲の反対を押し切って結婚し、地元に帰郷した際に女性側の親族に石を投げつけられ2人とも死亡したという痛ましい事件も起こっている。

 名誉殺人は死刑に相当しうる犯罪とインド最高裁が示しているように、社会としてこの行為が容認されているわけでは決してない。しかし犯行の多くは大胆で残酷な殺害方法が取られており、被害者は「殺されて当然」とでも言わんばかりだ。画像がインターネット上に流出することも多い。

娘の首の横に座り込むクマール容疑者 (ニュースチャンネル「INDIA AHEAD」より)

 金持ちや身分の高い異性と恋に落ちるというのは、日本では定番のシンデレラストーリーだ。こういった事件が起きている諸外国の報道を見て「遅れているな」と感じる人も多いだろう。

ジェンダーギャップはインドより日本の方が下

「ですが、驚くべきことに世界経済フォーラムが2019年12月に公表した『ジェンダーギャップ指数』によると、名誉殺人が年間1000件発生しているとも言われるインドは153カ国中112位で、日本は121位なんです。ジェンダーギャップ指数は政治や経済などの分野で、女性が意思決定にどの程度関わっているかといった指標が重視されるので、名誉殺人などの犯罪の有無はあまり影響がないとは言われています。それでも日本が『遅れている』国であることに変わりはない」(同前)

※写真はイメージです ©iStock.com

 クマール容疑者は警察の事情聴取に対し、「娘を説教していたら感情がコントロールできなくなった」とも語っているという。