「え?」
「やってないよ!」
「矛盾してるよ!」
1月末、東京高裁で開かれた2審の判決公判で、大手出版社「講談社」でマンガ誌「モーニング」編集部次長として勤務していた朴鐘顕(パクチョンヒョン)被告(45)は、大きな声でそう訴えた。法廷で、懲役11年の実刑判決を言い渡されたのだ。
刑事裁判では、有罪判決が言い渡される際にじっと無言を貫く被告が多い。その中にあって、まるで子供のように騒ぎ立てる彼の姿は異様だった。
朴被告は京都大学法学部を卒業後、1999年に講談社に入社。週刊マガジン編集部などで、アニメ化やゲーム化もされた「七つの大罪」(講談社)をはじめ数々の人気漫画を立ち上げ、社内では将来の役員候補とまで期待されていたという。プライベートでは2007年に結婚し、4人の子宝に恵まれた。
「階段から落ちた」から「首を吊った」に説明を一転
事件が発生したのは、講談社本社にほど近い文京区の朴被告の自宅だった。2016年8月9日未明、朴被告は自ら119番通報。駆けつけた救急隊員は1階の階段で心肺停止の状態で倒れていた朴被告の妻、佳菜子さん(当時38)を発見し救急搬送。佳菜子さんは搬送先の病院で死亡が確認された。
「朴被告は当初、警視庁の調べに『妻は階段から落ちてしまった』と供述していました。しかし司法解剖の結果、佳菜子さんの死因は頸部圧迫による窒息死だったことが判明。すると朴被告は『妻は階段の手すりでジャケットを巻きつけて首を吊った』と説明を一転させたのです。
しかし1階にある寝室で、佳菜子さんの尿反応と血液が混じった唾液が検出された。佳菜子さんが絞殺されたことを示す物証が次々見つかったのです」(大手紙社会部記者)