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 捜査内容と朴被告の説明には矛盾が生じ続け、佳菜子さんの死から5カ月後の2017年1月10日、警視庁は朴被告を殺人容疑で逮捕した。自殺だと主張し真っ向から否認する朴被告の姿勢は崩れず、裁判の準備には多くの時間を費やしたという。

殺害現場となった朴被告の自宅 ©文藝春秋

法廷で喚き、裁判長から「座ってください」

 2019年2月19日、東京地裁で開かれた裁判員裁判の初公判で朴被告は無罪を主張。弁護側は「朴被告が殺したのではなく、自殺だ」と訴え、朴被告の供述の変遷については「子供に自殺を隠すためにウソをついた」と釈明した。

 しかし検察側の主張は全く異なるものとなった。

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「検察側は、朴被告は1階の布団の上で佳菜子さんを絞殺して、隠蔽のため階段から突き落としたと主張しました。動機については『育児や家事について不満を言われたり、母親をけなされたりしたことから突発的な殺意を抱いて首を圧迫して殺害した』と説明しています。佳菜子さんは朴被告からのDVを、過去に警察へ相談したこともあった。もともと頭に血が上ると手を上げてしまうタイプだったんでしょう」(同前)

(写真はイメージです)©iStock.com

 弁護側は佳菜子さんが育児ノイローゼだったと指摘して自殺を主張したが、国民から選ばれた裁判員に響くことはなく、1審判決は検察側に軍配があがった。

「そして同年3月6日の判決公判で、守下実裁判長は朴被告の主張は『説得力がない』と切り捨てました。その上で犯行については『危険で悪質だ』として懲役11年(求刑懲役15年)の実刑判決を言い渡した。朴被告はこのときも『間違っている』などと法廷で喚き散らし、守下裁判長から『座ってください』などとたしなめられていましたよ。朴被告側は不服であるとして、翌日に控訴しています」(同前)