日本刀で相手の腕を切り落とし、窃盗では数億円を荒稼ぎ——。1980年代後半に中国残留孤児2世、3世を中心に結成され、その凶悪さを恐れられた半グレ集団「怒羅権」。その創設期のメンバーで、13年間服役した汪楠(ワンナン)氏の著書『怒羅権と私 創設期メンバーの怒りと悲しみの半生』(彩図社)が話題だ。
汪楠氏は、「包丁軍団」と呼ばれた怒羅権の荒れ狂った活動の実態から、出所後に犯罪から足を洗い、全国の受刑者に本を差し入れるプロジェクトを立ち上げるまでの壮絶な人生を著書で綴った。刊行を記念して行われた、書籍を編集した作家、草下シンヤ氏と、テレビ番組「ハイパーハードボイルドグルメリポート」のディレクター、テレビ東京の上出遼平氏、そして汪楠氏のトークイベントの模様の一部を紹介する。(全2回中の2回目。前編を読む)
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日本刀で相手の腕を切り落とし…
――汪さんは17歳当時、怒羅権にいながら、ヤクザのある組にも所属していました。同じころ、汪さんのお金を盗んだ人間とトラブルになり、日本刀で相手の腕を切り落とし、さらに首すらも落としかけた事件を起こしています。
草下:日本刀を振り下ろした瞬間は覚えていますか?
汪楠:そいつ、自分のお金盗むし、その後のお詫びの席での態度も悪く、食事の代金も踏み倒そうとした。それまでは、組長が許したから殴っちゃいけないって思っていたんです。警察に捕まるからじゃなくてね。でも相手の顔も殴ってしまって、こんなに出血したならもう組長にもバレちゃうなと思ったんです。
殴られた経験が結構あるから分かるんですけど、殴り始めは痛い。でも、5分、10分続くと痛みって感じないんですよね。だから腕を切り落とされたやつも、もう痛み感じないところに来ちゃっていた。