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告発状が陸上自衛隊の内情を暴露

 そうしたなか、今月初旬、筆者宛に防衛省職員とおぼしき人物から告発状が届いた。陸自の隠蔽体質を暴露する内容と戒田氏の懲戒処分の公表資料が同封されたA4判2枚のもので、「陸上自衛隊、特に陸上幕僚長の横暴は、もう限界で目に余ります」と告発が始まっている。

 内容は正確に陸自内の状況を反映しており、今月26日付で湯浅悟郎陸幕長が退官するとの観測が高まっていたことを受け、現役の間に筆者に情報提供したかったのだと考えられる(観測通り、湯浅氏は26日付で退官)。

 告発状には「ハカイダーの処分問題」と題した項目があり、戒田氏をめぐって「秘密裏に処理するため、職員が本当に苦労させられ、精神的なダメージをうけた」こと、「今後の昇任への影響を避けるため、年内の処分にこだわった」ことなどを訴えている。なお、責任者である湯浅陸幕長は、戒田氏とは防衛大学少林寺拳法部での先輩後輩の間柄で親しいことは陸自内では周知の事実である。

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第1空挺団長時代の戒田氏

ドアの修理履歴で処分が確定

 筆者がさらに取材を進めると、内情を知る陸自幹部は「今回、懲戒処分を受けたのは間違いなく戒田氏」と話した上で経緯を明かしてくれた。

「文春オンラインが初めて報じた昨年8月以降、調査はきちんと行われ、記事内容が概ね事実だという結果はまとまりましたが、問題はその後でした。戒田氏と昵懇の湯浅氏が『フェイクニュースだ』と主張して難癖をつけたのです。処分自体がもみ消される恐れもありましたが、第1空挺団長執務室のドアの修理履歴という物証はごまかせず、その事案だけを処分することで落ち着いた」

 もし物証がなければ、戒田氏は何のお咎めもなかった可能性もあったということだから恐ろしい(防衛省にドアの修理歴について確認したところ、「特定個人の規律違反の有無に関する事実関係については、回答を差し控えます」との回答した)。