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人生を楽しみながらお互いに成長すること

 もちろん、エスターはイノベーターを生み出すためにこの教育法を実践してきたのではない。彼女が目指したのは、親も子どもも教師も生徒も人生を楽しみながらお互いに成長することである。長年の経験を振り返って、そのプロセスの核になったのがこの5つの価値観だったと気づいたのだ。そこで、自身が長年実践してきたメソッドをこの本にまとめて公開することになった。彼女がその半生をかけて成功と失敗を繰り返しながら積み上げてきた「人間育て」のメソッドは、年齢や文化や環境に関係なく効果がある。私も「今からでも遅くない」と背中を押された気がした。

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 内閣府の調査によると、日本の若者は諸外国と比較して自己肯定感が低く、将来に対して最も悲観的であることがわかっている。社会を息苦しい場所にしているのは私たち大人であることを謙虚に認め、次の世代のために何ができるかを考えた時に、このトリックの哲学はひとつの指針になり得ると思っている。子どもたちに「あなたを信頼し、尊重している」と行動で示し、周囲の人たちと力を合わせ、優しく接する姿を大人が見せることで、世の中が少しでも変わっていくことが著者の願いであり、翻訳者であり親であり教師でもある私の願いでもある。

【前編を読む】YouTube CEOを育てた“シリコンバレーのゴッドマザー”が明かす「人間育て」で大切な“5つの価値観”とは