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緊急事態宣言に「陽性者減」の効果はなかった? 4つのデータから導かれる“衝撃の結論”

2021/03/20
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 第4に、北半球ではほとんどの国で、寒くなって陽性者数のピークを迎えた後、減少に転じていることです。たとえば隣の韓国の陽性者数を見てみると、クリスマスの頃にピークを迎えた後、やはり日本と同じように減少しています(図3)。韓国はワクチン接種が進んでいないので、少なくともその効果ではありません。他の国の感染状況のグラフも、ぜひチェックしてみてください(NHK特設サイト 新型コロナウイルス「世界の感染状況」)。

図3. 韓国と日本の感染者数の推移 
出典:NHKまとめ

 こうした事実から言えそうなのは、やはり第三波は寒さの影響が一番大きく、増えたのも減ったのも、自然現象だったのではないかということです。これは「寒くなると風邪の人が増え、寒さが緩むと減っていく」という私たちの生活実感とも合っています。

この1年で日本経済はここまで悪化した

 一方で、この1年で日本の経済は確実に悪化しました。2月15日の内閣府の発表によると、2020年のGDP(国内総生産)は通年でマイナス4.8%と、リーマン・ショックの影響で5.7%減った09年に次ぐ過去2番目の下げ幅となりました。

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 完全失業率は前年の2.4%から2.8%に上昇。完全失業者数は194万人と前年同月に比べ49万人増え、11ヵ月連続の増加となりました。厚労省の調べによると2月26日時点で新型コロナの影響で解雇や雇止めされた人は見込みも含めて累計9万185人。業種別に見ると製造業(1万9677人)、飲食業(1万1974人)、小売業(1万1720人)、宿泊業(1万860人)の順に多く、実際の解雇数はさらに多いと見られています。

陽性者数の増減と人手の多さは相関しているように見えない(東京渋谷、2021年3月14日撮影) ©AFLO

 飲食店の苦境ばかりが伝えられますが、観光業の落ち込みも相当です。観光庁の2月12日の発表によると、昨年12月の主要旅行業者の総取扱額は、前年同月比35.4%でした。とくに海外旅行の落ち込みがひどく、前年同月比でわずか3.3%。ひと月でおよそ1582億円あった海外旅行の売り上げが、わずか52億円に減っています。

 事業廃止した旅行業者は昨年4月から今年2月までの11ヵ月間で、589社にも及んだと伝えられています(ウイングトラベル「旅行業の事業廃止、2月の官報掲載は59社」2021年2月24日)。

退学・休学を選ぶ大学生も

 コロナ自粛の影響を受けている業種は他にもあります。経済産業省の調査によると、昨年12月の売上高は、遊園地・テーマパークが前年同月比50.6%減。結婚式場業(44.0%減)、ボウリング場(38.7%減)、フィットネスクラブ(27.9%減)、外国語会話教室(22.6%減)なども大きく落ち込んでいます。