経済悪化のあおりを受けているのは、働き盛りの人だけではありません。文部科学省の調査によると、コロナ自粛による影響で昨年4月から12月までに全国の大学・短大を中途退学または休学した学生はおよそ5800人に及んでいるそうです。全体的には中退者は2割ほど、休学者は1割ほど減りましたが、授業料の納付猶予、減額、免除などの措置や、低所得世帯対象の奨学金利用などでしのいでいる学生が増えており、来年度以降、中退や休学する学生がさらに増えると心配されています。
コロナ自粛による「副作用」は深刻
そして、10年連続で減少していた自殺者数が、昨年は増加に転じました。2020年の確定値は2万1081人で、前年より912人増えました。男性は減少しましたが、女性が935人増加。また、20歳代(2521人で19.1%増)、19歳以下の未成年(777人で17.9%増)の増加率が高く、「厚労省は新型コロナウイルスによる生活の変化などが影響した可能性があるとみている」と伝えられています(朝日新聞デジタル「2020年の自殺者2万1081人 11年ぶり増」2021年3月16日付)。
厚労省自殺対策推進室の担当者は「下半期の傾向を見ると、経済問題が要因と見られる自殺が目立っている」と話しているそうです(日本経済新聞「20年の自殺者2万919人 11年ぶり増加、コロナ影響か」2021年1月22日付)。
マスメディアは、コロナ感染者の「後遺症」は伝えても、コロナ自粛による「副作用」はあまり伝えたがりません。ですが、過剰な自粛によって、職業や生活、生きがい、そして命まで奪われている人たちがいることに、あらためて思いを寄せるべきではないでしょうか。何万人、何%といった数字(ファクト)の向こうには、数字では表し切れない一人一人の人生があるのです。
国民に負わせた犠牲に見合う効果があったのか?
Go To キャンペーンの停止や飲食店の時短要請、緊急事態宣言といった政策に、国民に負わせた犠牲に見合う効果が本当にあったのでしょうか。自粛を求めた自治体、医師会、感染症の専門家などとは利害関係のない、中立の第三者の科学者の手で厳しく検証すべきです。また、そもそも緊急事態宣言は、感染を抑えている間に、医療体制を整えるのが目的だったはずです。それが達成できているかどうかについても、第三者の手で検証をするべきでしょう。
効果や成果について検証することもないまま、国民に多大な犠牲を負わせる緊急事態宣言を繰り返すべきではありません。政府の賢明な判断を望みたいと思います。
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本記事は、政府、自治体、医師会等による新型コロナウイルス自粛政策に疑義を呈する医師7人へのインタビュー集、鳥集徹著『コロナ自粛の大罪』(宝島社)の「あとがき」から抜粋・加筆したものです。