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「ファミスタ」で起こったかけひきの進化

205万本ものヒットになった初代「プロ野球ファミリースタジアム」

 続いて野球ファンの度胆を抜いたのが「ファミスタ」シリーズの第1作「プロ野球ファミリースタジアム」(1986年)です。ポイントは、選手のデータ化による能力の差異と、投打のかけひきの進化です。

 データ化により単打の多い俊足の打者や鈍足の強打者など、個性的で「とがった」選手たちを再現できるようになりました。また、投手が球数を重ねると球速が落ちて変化球も曲がらなくなるなどの変化も生まれるようになり、代打や継投も重要に。ヒットエンドランや挟殺プレーもできるようになりました。1試合15~20分で終わるテンポの良さもあり、205万本のヒットを飛ばします。

2020年にはシリーズ最新作となる「プロ野球 ファミスタ 2020」が発売された
「プロ野球 ファミスタ 2020」より

 なお昨年には、シリーズ最新作となる「プロ野球 ファミスタ 2020」が発売されています。

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「プロ野球ファミスタ2020」の会見でポーズをとる声優の落合福嗣(左)とタレント出川哲朗 ©時事通信社

視点を広げた「燃えプロ」「ベスプレ」

 同時期にファミスタと違う視点で人気となったのが「燃えろ!!プロ野球(燃えプロ)」(1987年)と「ベストプレープロ野球(ベスプレ)」(1988年)でしょう。

「燃えプロ」は、当時としては画期的な野球中継視点で遊べ、一部スター選手の打撃フォームなどを再現し、話題となりました。投球は「ファミスタ」のような緩急の差と内外角の使い分けに加え、「燃えプロ」は高低も使え、さらに本物に近づきました。

 同作は158万本のヒットとなったものの、各チームのスラッガーはバントをしてもホームランになるバグがあり、ゲームバランスの甘さもあってか、続編はヒットしませんでした。それでも爪痕を残したのは確かで、後にPS4で復活すると、話題になりました。

「ベスプレ」は、競馬ゲーム「ダービースタリオン」シリーズの薗部博之さんが手がけました。ポイントは、プレーヤーは監督のため、選手を直接操作できないことです。選手を送り出せば、ある程度の指示は出せるものの、後は祈るのみ……という監督の「もどかしさ」を再現しています。チーム全員をフル活用して長いペナントを乗り切る点も斬新で、選手の能力値も変更できました。まさに「玄人好み」のゲームだったといえるでしょう。