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“高校球界ビッグ4”の154キロ右腕は、なぜ名門・明徳義塾から大阪桐蔭へ? 関戸康介投手が語った「野心」

2021/03/23
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 第93回選抜高校野球大会に出場する球児に、12歳で生まれ育った長崎県佐世保市を飛び出し、中学、高校と、西日本の名門を渡り歩いている球児がいる。

 大阪桐蔭の新3年生になる右腕・関戸康介だ。

 彼の名を有名にしたのは、中学生時代に出演したテレビ番組「ミライ☆モンスター」(フジテレビ系)だった。福岡ソフトバンクジュニアにも選出された小学生時代に、129キロを記録していた衝撃の事実が明かされ、明徳義塾中に在籍した当時も、既に146キロの剛速球を投げていた。

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今年の高校球界の“四天王”の1人とも言われる関戸康介 ©産経新聞社

12歳で地元・長崎から高知の明徳義塾へ

 関戸少年は小学校を卒業する頃には、将来は甲子園に出場し、プロ野球選手になるという道程を具体的に思い描いていた。だからこそ12歳で親元を離れ、1000人近い中高生が寄宿生活を送る高知の明徳義塾を進学先に選んだ。

 覚悟が必要だった。

「両親からはなに不自由なく、野球をやらせてもらっていたんですけど、野球で勝負したいと思っていましたし、何かを得るためには、何かを失わないといけないというのは、小学生ながらに考えていました。両親からは、『自分がやりたいようにやりなさい』と言われていて。親元を離れる寂しさ、友達と会えなくなるという寂しさはありましたけど、そういう弱い気持ちよりも、大きい自分の夢を叶えたいという強い気持ちの方が勝りました」

 高知には望郷にひたることがないよう、必要最低限のモノ以外、何も持って行かなかったという。

「アルバムとか、なるべく思い出のものを持って行かないようにして、過去を見ずに新しい一歩を、ゼロからやっていこうと思いました」