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「医者にはならない、映画監督になる」

「大学4年生の時に必修だった映画製作のクラスを取って、こんなものがあったのかと感激したよ。そして、メディカルスクールには進学しないと決めたんだ。そのことを両親に告げたのは、家族旅行でフロリダのディズニー・ワールドに行った時。列に並びながら、『医者にはならない、映画監督になる』と言い、地上で一番ハッピーであるはずのその場所は、一転、地上で一番悲しい場所になった(笑)。でも、父はそんなことをすっかり忘れたみたいで、先週も、『映画監督になりたいというお前を俺はいつも支えてやったんだ。ありがたいだろう?』と言ってきたよ。実際、ユタ大学で映画を学ぶようになってからは応援してくれた。両親のおかげでここまで来れたのは本当だ」

リー・アイザック・チョン監督 (右) ©2020 A24 DISTRIBUTION, LLC All Rights Reserved.

『ミナリ』が6部門でオスカー候補入りを果たした今、チョンの両親は、これまで以上に息子を誇りに思っているに違いない。さらに、チョンには、メジャースタジオによる話題作が控えているのだ。日本のアニメ『君の名は。』のハリウッド実写映画化作品である。プロデューサーはJ・J・エイブラムス率いるバッドロボットが製作。キャスティングは、これから決まる。

「新海誠のオリジナル版は大好きだ。あの映画はラブストーリーであり、家族の話であり、自然に耳を傾ける話。とても共感できるんだ。最高の形で実写映画化できるよう、最大限を尽くすつもりだ。もちろん、日本の文化にも敬意を払う。今はまだコロナの中でどう製作を進めていくか話し合っているところだが、このプロジェクトに心をときめかせているよ」

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 オスカーの後も、彼への注目は続きそうだ。

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※TOHOシネマズシャンテほか全国ロードショー
配給:ギャガ

<プロフィール>
リー・アイザック・チョン(脚本/監督)●1978 年、アメリカ、コロラド州に生まれ、アーカンソー州リンカーンのオザークにある小 さな農場で育つ。イェール大学の学士課程で生物学を学んだ後、ユタ大学で映画学の修士号 を取得。2012 年には、全米アーティスト・フォード・フェローシップを授与される。脚本 家と映画監督として、受賞実績を持つ。長編映画デビュー作『Munyurangabo(原題)』(07) は、2007 年カンヌ国際映画祭でプレミア上映され、絶賛を浴びる。その他の長編映画作品 には、『Lucky Life(原題)』(10)と『Abigail Harm(原題)』(12)がある。新作は『君の名 は。』のハリウッドリメイク版『Your Name』。本作で世界中のメディアと映画ファンに熱狂 を巻き起こし、現在も受賞リストを更新し続け、一躍、エンターテイメントの未来を担う存 在となった。本作『ミナリ』は第93回アカデミー賞6部門にノミネートされている。