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東京五輪を“擬人化”して見えてきた「問題の本質」 なぜメディアは現実を伝えないのか?

2021/03/23

『また東京五輪』

 スポーツ紙の見出しである。ぜんぶ読むと『また東京五輪大混乱 女性侮辱騒動』(サンスポ3月18日)。

 なんかすごい。東京五輪が暴れん坊にみえてきた。「また(横山)やすし」とか「力道山また暴れる」みたいな。もう同じカテゴリーで考えたほうがいいんじゃないか? 私はトラブルが続くこのキャラを「東京五輪師匠」と呼びたい。擬人化すると見えてくることがあるのだ。

©️iStock.com

どんな不祥事をやらかしても大切にされる「東京五輪師匠」

 たとえば2021年の今、漫才師・横山やすしが当時のままいたらどうだろう? 個人的にはワクワクしてしまうがテレビで見ることができるだろうか? コンプライアンスという言葉を聞きなれない30年以上も前に横山やすしはまさにコンプライアンスを問われていた。メディアはやすしを登場させないだろう。

 ではと思う。

 やすしと同じくらい東京五輪師匠は不祥事やトラブルが続いている。なのになぜ今もメディアの真ん中にいるのか。コンプライアンス重視の今、チヤホヤされているのか。横山やすしがアウトなら横山五輪だってダメだろうに。

 東京五輪師匠には大手企業はじめ、新聞社がスポンサーになっている。テレビは「感動をありがとう」を期待している。首相はコロナに打ち勝った証としてやると言っている。バックがすごい。東京五輪師匠はどんな不祥事をやらかしても大切にされる。

「差別の祭典」でおこなわれていた「乗っ取り」

 そうして皆で担ぐ大御所だが、漏れ伝わるその価値観は危うい。

 組織委トップであった森喜朗氏の性差別発言に続き、今度は開閉会式の責任者である佐々木宏氏が芸人を動物として演じさせるプランを提案していた。週刊文春3月25日号が報じた。

佐々木宏氏 ©️時事通信社

 これではもう「差別の祭典」である。あらゆる差別をなくそうと五輪憲章に掲げ、世界に発信する舞台なのに東京五輪師匠はピンときてない。

 しかも文春の記事には佐々木宏氏がいつのまにか開閉会式の演出チームトップになっていた過程も書かれていた。こちらの衝撃も大きい。いや、むしろ乗っ取りがおこなわれていたと読める告発記事だったのである。