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「LINEの情報漏れが怖い」という論点ずらし

 そんな時代錯誤の東京五輪師匠だがメディアでは可愛がられている。今回の報道を受けても本質的な問いをテレビでは見かけない。聞こえてくるのはLINEの情報漏れが怖いとか、生きづらい世の中になってしまったとか。

 一体何を言っているのだろう。あれは私的なLINEだろうか? 莫大な税金が注がれる超公のイベントに関するLINEではないか。

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 開会式チームの不透明な乗っ取りで感じたであろう従来からの権力おじさんの理不尽な圧、そして露呈する古い価値観。LINEだけでなく普段から乱れ咲いていたのだろう。五輪がこの状態のまま世界に発信されていいのかと告発者たちが考えたなら、あのLINE画像には公益性がある。

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 私たちのLINEの会話とごちゃまぜにする話ではないのだ。それなのにわざと論点をずらしているのか、それとも東京五輪師匠のヤバさを深掘りされたくないのか。報道番組の不自然さも気になる。

新聞は現実を伝えるべき

 さらに私が興味があるのは「新聞」だ。

 果たして新聞社にも今回の告発はあったのだろうか? もし文春だけに持ち込まれていたらマズい。新聞は東京五輪の恥部を率先して報道しないだろうと思われていたかもしれないからだ。

 もし新聞社に持ち込まれたら、新聞は調べただろうか。意地悪だが大事な疑問。

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 最後に。

 これだけトラブルや不祥事が続くと「呪われた五輪」というフレーズがよく使われる。でも五輪を呼んでお金が回るならと、古い価値観やスキームを重用してきたツケだ。

 東京五輪師匠は呪われてなんかいない。今、起きていることはすべて必然である。新聞は現実を伝えるべきだ。スポンサーをやるのもいいがそれなら構造的な問題点を書くのも責任だと思うのですが。