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2013年には大河ドラマの主演に抜擢

 広く世間に認知され、女優として地歩を固めたのは、2009年に『JIN―仁―』で武家の娘を演じた頃だろうか。当時、「原色美女図鑑」に登場した際、《時代物、もっとやりたいなって気分になってます。大河ドラマにも出てみたいなと思ったり(笑)。/他にもやってみたい役があるんです。キャリアウーマンの母親役とか》と語っていた(※5)。その念願がかない、NHKの大河ドラマでは2013年の『八重の桜』で主人公・山本(のち新島)八重の役に抜擢され、2019年の『いだてん~東京オリムピック噺~』にも主人公のひとり金栗四三の妻役で出演した。

『八重の桜』が放送された2013年には成田山新勝寺の節分会にも登場 ©文藝春秋

 キャリアウーマンの母親役も、前出の『義母と娘のブルース』で実現した。さらに今月6日、東日本大震災から10年を前に放送された単発ドラマ『あなたのそばで明日が笑う』では、中学生の子供を持つ母親を演じている。劇中、彼女の演じる母親は、震災で夫が行方不明になってからというもの、一人息子には彼のことをほとんど語ってこなかったが、ある出会いをきっかけに徐々に口を開き始める姿が強く印象に残った。

©文藝春秋

「私には野心が足りない」の意味とは?

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 毎回、新たな役に挑戦するたびに努力を惜しまない彼女だが、2018年刊のフォトブックのインタビューでは、意外にも、《私には野心が足りないんです。他の俳優さんがすばらしい作品に出ているのを見たら「うらやましいな」とは思うけど、ライバル意識を持つことはないし、人と較べることもしないし。30代だからこんな役がやりたいとか、40代になったらあんな役をやりたいとか、そういうのもないんです》と打ち明けていた。同書ではさらに、《私はこの仕事をもともと辞めようって思ってきて、『世界の中心で、愛をさけぶ』のときは本当にそう思ったし、『八重の桜』のときも、これでもう辞められるって思ったんです》とまで告白しており、驚かされる。それにもかかわらず、いままで続けてこられたのは、《関わってくれる人たちに喜んでほしいし期待に応えたい》、《観てくださる方々の心を揺さぶるような演技ができるようになりたい》との思いからであったという(以上、※6)。