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「やりますよ。今年はやったりますよ!」優しく熱い男、中日・堂上直倫の“覚悟”と“準備”

文春野球コラム ペナントレース2021

2021/03/26

福留孝介に学んだ「チャンスでの心構え」

 準備には考え方も含まれる。歴戦の猛者は勝負所で一体何を考えているのか。3月上旬にやっと聞けた。中学3年の頃にファン感謝デーでホームランを打った投手であり、プロ1年目のオフに背番号1を譲り受けた先輩の福留孝介に。

 読谷キャンプで一緒だったが、練習中は互いに動いており、練習後は外出や部屋の移動が禁止だったため、じっくり話せなかったという。「ナゴヤ球場の教育リーグにスタメン出場した後に2人とも交代して、ベンチにいる時です。チャンスでの心構えを聞きました」

 まず、福留は堂上の考えを聞いた。堂上は持論を述べた。すると、「それでは1つ遅い」と返ってきた。1つ遅いとはどういうことか。「すみません。それは言えないです。今年、チャンスで打ったら言いますね」と白い歯をこぼした。

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 3球団競合のスーパースターも32歳。15年目のシーズンを迎える。「ここ数年、同じ気持ちなんですが……」と前置きした上で、ゆっくりと今の偽らざる心境を吐露した。

「後悔だけはしたくない。毎日、しっかり準備して、納得して終わろうとしているし、終われている。これだけやってダメなら、と思っています。やりますよ。今年はやったりますよ!」

 最後は口調が熱を帯びた。開幕の今日、堂上はマツダスタジアムにいない。若手とともにナゴヤ球場で大粒の汗を流している。しかし、必ず来る。「優しくも、熱い男」の力が必要になる日が。背番号63は今日も準備している。その時までの全てが出る一軍の打席に備えて。

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