昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

2017/10/08

genre : エンタメ, 読書

読者からの質問

■実のところ鹿せんべいは食べたんですか?(20代・女性)

万城目 食べました。結構美味しかったです。

■万城目さんが大好きな作家さんに1つだけ質問できるとしたら、どなたに何を聞いてみたいですか? 亡くなられた方、生きておられる方、外国の方、どんな作家さんでもかまいません。(50代・女性)

万城目 湊かなえさんに、貯蓄額。こないだお会いしたのに訊かれへんかったので(笑)。

■私は万城目さんの作品を全部読んでいますが、一番大好きな登場人物は、『プリンセス・トヨトミ』に登場する鳥居さんです。私も周りの人から「あいつ実は奇跡を呼ぶんだよな」と密かに噂されている人間になりたいなと思うのですが、今まで万城目さんは鳥居さんの様な人に会った事があるのでしょうか? それとも万城目さんの理想の人物像なのでしょうか?(40代・女性)

万城目 実在の人物か理想の人物か……。中間のないすごい二択ですね(笑)。ああいう人に会ったことはないですが、男女問わずああいうパッとしなくて周りから全然注目されていないんだけれども、いい味出している人は好きですね。

■全作品の中で一番好きな登場人物はだれですか? 私は『鹿男あをによし』の鹿です。(30代・女性)

万城目 鹿って、人物違うやん(笑)。好きな人かぁ……『鴨川ホルモー』の高村君かな。チョンマゲになる人です。素敵ですよね。

■先生は「おもしろおかしい展開にもっていこう」と思って意図的に話を作っていくのですか。それとも大体の設定と人物を決めて書き進めていくうちに自然とおもしろおかしくなってしまうのですか。(50代・男性)

万城目 「笑い」という部分に関しては全然意識してないですよ。『鴨川ホルモー』を書いて、版元である産業編集センターの編集者とはじめて会った時に「笑いました」と言われてムッとしましたから。自分では真面目に書いたつもりだったから。笑える話を書いたなんて全然思っていなかったんです。

■「丸の内サミット」の続きはいつ書かれるのでしょうか。 (50代・男性)

万城目 『ホルモー六景』(07年刊/のち角川文庫)の続きってことですよね。予定はないんです。どんなもんも3作目を書くのはあかんと思っているんですよ。映画でもファンの声に律儀に応えて3作目作って忘れ去られていく作品が多いので、2作目で止めて、心の中でずっと思ってもらうほうが僕はいいなと思っています。

■好きな本ベスト5教えてください。よく行くラーメン屋ベスト5教えてください。
よく行くチェーン飲食ベスト3教えてください。好きな観光地ベスト3教えてください。(50代・男性)

万城目 ラーメンそんな好きじゃないし、チェーン店もそんな行かないし、本も難しいな。観光地は、もう一回行ってみたいところで言えば、エーゲ海、ポルトガル、モンゴル。

■自分自身が魂を込めて書いた作品が本という形だけでなく、初めてドラマや映画になったときのお気持ちはいかがでしたか。(30代・男性)

万城目 やっぱりちょっと浮わついてしまいましたよね。自尊心が肥大化しましたよ。

■万城目さんの作品で、魅力的な登場人物はさて置き、物語の舞台となるエリア・場所・建物の選定も重要な要素だと感じております(吉田山近辺・鴨川デルタ・空堀商店街・東大寺等)。読書後、それぞれの作品の舞台に足を運んだり、地図で主人公の足取りを辿ったりする楽しみもあります。そこで万城目さんが、作品の構想を練られるときの現場下見のご苦労についてお話を伺えれば幸いです。(70代・男性)

万城目 歩いてデジカメで写真を撮るだけですからね、さほどの苦労はないです。逆に、その時が一番楽しいですかね。この場所を使って、こういう話にしようとか、具体的なイメージが湧くので。そこから文章にする時がしんどいです。

■『パーマネント神喜劇』楽しく読みました。 最終話で、あの「かのこちゃん一家」が登場し、とてもうれしくなりました。しかも家族が増えていました!! 万城目さんはかのこちゃん家族に特別な思い入れがおありですか? (50代・女性)

万城目 『かのこちゃんとマドレーヌ夫人』は小1のかのこちゃんが出てくるんですけれど、意外とお父さんにべったりなんです。すぐに手を繋いだりとかね。今回出てくる小3のかのこちゃんは、お父さんといても友達のところにぱーっと行っちゃうんですよ。だから、適度な子離れ、親離れを書いています。こういう書き方をすると、なんかの時に小6のかのこちゃんを出したりするのかなという予感もありますね。

■京都から始まり、奈良、滋賀、と続き、和歌山が来るのかと思いきや、来ない。熊野という地もありますが、和歌山を舞台にした小説を書かれる予定はありませんか? 期待してます。(50代・女性)

万城目 これは若干たくらんでいるところがありまして、去年熊野を探索しましたよ。それでポンポンポンとストーリーはできたんですよ。でもいつ書くかは分からないです。書くという約束もできません。

■今までで影響された作家は?(20代・女性)

万城目 チャールズ・ブコウスキーですね。『パルプ』が一番好きです。自分は全然大したことないクズだ、というのを、ちょっとユーモアを入れて、軽い感じで書いていて。さっきも言いました明るい諦念、ですよね。純文学風に鬱々として深刻で暗い話にももっていける内容を、めちゃめちゃ馬鹿馬鹿しく書いていて、自分と合っていると思ったんです。無職時代にブコウスキーを読んで、こっちの方が自分に合っているんちゃうかなと思って試していったら『鴨川ホルモー』みたいになりました。日本人で影響を受けたのは、司馬遼太郎。

■執筆活動において、一番のクライマックス(興奮する時)はいつですか? 作品のアイディアが湧いた時なのか、脱稿した時なのか、作品が評価された時なのか(賞などを獲得した時)、教えていただきたいです。(30代・女性)

万城目 クライマックスを一番最初に思いつくんです。『偉大なる、しゅららぼん』だったら湖が割れる場面、『とっぴんぱらりの風太郎』だったら赤ん坊を抱いて大坂城を出た場面とか。そこに向かって話を進めていくので、クライマックスの場面を書いている時は、ようやくここまで来たかと気分が盛り上がりますね。

■文芸誌などに連載されている途中の作品を執筆中に読まれるのとハードカバーや文庫などの一冊の本に完成してから読まれるのと読者にどちらを望まれますか? またご自身は好きな作家は連載中に読まれますか?(30代・女性)

万城目 僕は連載から本にまとめるとき、ほとんど手直しをしないので、連載でも本でも好きな方を好きなタイミングで読む、でいいと思うんです。文芸誌に連載している長篇はあまり読まないですね。対談やインタビューを読むのは好きですけれど。

■今まで見た中で、一番怖ろしい夢はなんですか?(30代・男性)

万城目 人を殺して、あぁ殺してもうたわって後悔しながら警察に追われていたりする夢。しかも、目が覚めて、ああよかった夢だったと思いきや、やっぱり殺している! という二層構造だったときは最悪です。

■自分が他人から、どう思われているか気になることは、ありますか? 常に評価のある世界に生きておられると思いますが疲れることはないですか? (40代・女性)

万城目 昔からまったく自分に興味がないんですよ。だから自分自身の評価はあんまり気にならないんですよね。ただ、最近「万城目らしさ」という言葉が気になるところもあって、つまり、過去の自分と対峙しているのかもしれません。

■万城目さん流の読書感想文の書き方を教えてください。 私は学生の頃、夏休みの宿題の読書感想文を書くのがとても苦手でした。書き方を教えてくれた人もいませんし、毎回なんとなくあらすじを書き写して提出していました。自分の子供にアドバイス出来るように、万城目さんの方法を是非教えていただきたいです。(30代・女性)

万城目 僕も苦手でしたからね。半分以上あらすじでしたよ。教師に出すオフィシャルなものやから、建前重視になるし、それは苦しんで当然だと思いますね。簡単に書く方法はないと思いますよ。だって、そもそもが書きたくないんだから。

■ストーリーありきか登場人物ありきかどっちのほうが先に思い付くんですか? (40代・女性)

万城目 ストーリーありきですね。書きたいクライマックスシーンをまず思いつきます。

■取材旅行先での忘れられないエピソードはありますか?(20代・女性)

万城目 奈良公園に行って鹿に話しかけられたことですかね。

■高校生の息子共々ファンです。『バベル九朔』の「おしゃれな美髭公Tシャツ」が気になって仕方ありません。どんなデザインなのか、もう少し教えて下さい。(40代・女性)

万城目 面白い質問ですね。これは僕が実際に無職時代、雑居ビルの管理人をやっていた時に、お洒落系の服を売るテナントが入っていたんです。そこに吊り下げられてたんですよ。白いTシャツで、中国の人が描いたようなちょっと淡い筆づかいで、カラーの美髭公関羽の全身像が描かれていました。毎月、電気代やらをもらいにいく時にプラプラ揺れてるのを見て「あ、今月も売れてへんな」と思って。

■万城目氏の頭の中を占めているもの、上位3つを教えてください。(40代・女性)

万城目 家族、ご飯、ゲームじゃないですかね。

■万城目さんは近代建築にも造詣が深いと思いますが、最近、観に行ったもしくは気になる近代建築はありますか?(30代・男性)

万城目 奈良の少年刑務所跡が大変気になりますね。赤レンガで白い線が入っているタイプの、古い明治の建築で、今度ホテルになるそうです。今月、台湾にサイン会に行くので、ついでに近代建築もチェックしたいです。

■好きな日本語は何ですか?ちなみに私の好きな日本語は「海外」です。いかにも日本語という感じがして好きです。(30代・女性)

万城目 「FF外から失礼します」。もうほんと、これについて考えることが最近多いです。これほど日本人の特性を表す概念はないなっていう。SNS文化から、こういう謎の配慮で謎の日本語が生まれていくというのが、本当に見てて楽しくて。

■珍しい苗字ですが、本名でデビューされたことで得た利益不利益はありますか? もし今までに、ペンネームを考えたことがあれば教えて下さい。(50代・女性)

万城目 さっき自分のことを考えるのが恥ずかしいと言いましたが、ペンネームを考えるのも恥ずかしかったんです。それすらも自意識の塊やと思ってて。だから本名でいくのは自然な流れだったんですけれど、メリットはないですね。デメリットの方が多いですよ。表札出せないとか。ゲーム売りに行く時に免許証コピーされるのが嫌で、ゲームを売らなくなったとか。

■私は趣味として小説を書くことがあるのですが、小説を友人に見せてと言われた時に裸を晒すような恥ずかしさを感じます。万城目先生はお顔も出していらっしゃるし、テレビでも活躍されていらっしゃいますよね。自分の作品と、自分自身を読者の頭の中で結び付けられることに抵抗はありませんでしたか?(10代・女性)

万城目 なるほど、こういう忘れていた感覚いいですね。確かに自分もむかしは恥ずかしかったけど、プロになったらそこは抵抗ないです。逆にそれで食べていけるわけだから。

■作家さん同士の交流は、自ら積極的にされているのですか?(40代・女性)

万城目 僕は別にひとりぼっちでいいと思ってたんです。でも浅田次郎さんのエッセーか対談に、最近の若い作家はひとりでいる、編集者とばかり仲良くなって、もっと自分の力で交流せえって書いてあったから、そのとおりだな、交流しようかなと素直に思いまして。まあ半年に1回くらいですけどね、意識的、自覚的に他の作家さんと顔を合わせる機会を持つようにしています。でも、内輪臭が漂わないように、馴れ合いにはならないよう、それなりの緊張関係を持ってやっているところはありますね。

■私は現在大学1回生です。約2年後から就職活動が始まりますが、正直なりたい職業がありません。万城目さんはどうして小説家の道を選ばれたのですか。(10代・女性)

万城目 僕も何もなりたいものなかったんです。たまたま21歳の時に小説を書いてみたら、なんかへたくそだったんだけど、うまくなりそうな予感がしまして。ひとりだけの作業でひとりだけの感想なんですけど。そういうのがたまたま見つかったからよかったですよ。あの時書かへんかったらもう、今もこれでいいんかなと思いながら過ごしていると思います。体育座りで考えてばかりなのを中断して、何かやってみることでしょう。手応えがあったら、それが鉱脈です。

万城目学さん ©石川啓次/文藝春秋

万城目学(まきめ・まなぶ)

1976 年大阪府生まれ。京都大学法学部卒業。化学繊維会社勤務を経て、2006年にボイルドエッグズ新人賞を受賞した『鴨川ホルモー』で鮮烈なデビューを果たす。『鹿男あをによし』『ホルモー六景』『プリンセス・トヨトミ』『かのこちゃんとマドレーヌ夫人』『偉大なる、しゅららぼん』『とっぴんぱらりの風太郎』『悟浄出立』『バベル九朔』など著書多数。またエッセイに『ザ・万歩計』『ザ・万遊記』『ザ・万字固め』などがある。

ツイッターをフォローして最新記事をいち早く読もう

文春オンラインをフォロー