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小池百合子の要素「父の敗北とカネ」

 大物にすり寄り、その側に陣取ることで自分を大きく見せてきた小池だが、いまや旧民進党出身者らをひざまずかせるまでになる。また文春によれば、都議会のドン・内田茂は「お前らは、小池の怖さをわかっていない。これで東京の自民党は全滅だ」と畏怖しさえする。

 ただの出たがり女であれば、ここまではたどりつけなかっただろう。そこそこの議員生活を送ったところで、元政治家の看板を活かせる別の世界にいっても不思議ではない。しかし小池は自らの政党をたちあげ、政局の中心に立つまでになった。

小池百合子、消防訓練で ©鈴木七絵/文藝春秋

 いったい何に突き動かされ、のし上がってきたのか。ヒントは、石井妙子の、もうひとつの小池百合子評伝にある。

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「父は政治家のタニマチで、あげくには自分が出馬した。それでお金を使い果たし、我が家は破産した」/ いいように政治家にたかられ、金を吐き出させられ、選挙のときは、皆が押しかけて飲み食いされたと悲憤をこめて、自著で百合子は語っている。(「小池百合子研究 父の業を背負いて」新潮45・1月号)

 取材者のあいだでは、父親のことに話が及ぶと顔色が変わると言われていたという。その父親と結局は同じ道に進んだ。しかし父親は政治の敗北者であった。だから小池は大物から大物へとすり寄る相手を変えてきたのだろう。そしてすり寄る必要がないところまで来ると、今度は自らが大物として、他をひざまずかせる。

 文春記者から「民進党の金庫に溜まっている約百五十億円が目当てと言われているが」と問われているが、その答えは父親を食いつぶした政治というものへの報復とみるのは、いささかロマンティックか。

注)https://dot.asahi.com/aera/2017071000043.html