「トップと近い。彼女は常にそう見られるように振舞っていた。男にはできないよ。常に脚光を浴びる人物の隣に陣取る」
「例えば小沢さんと飯を食う。そうすると彼女は必ず小沢さんの隣に座る。俺は党首だから『小沢先生』と呼ぶ。彼女は『小沢さん』と呼ぶ。傍から見たら、俺より上、というふうに映るわな」
姐さんから親分へのポリティクス
ノンフィクション作家・石井妙子の「男たちが見た小池百合子という女」(月刊文藝春秋・8月号掲載)は、細川護熙、守屋武昌ら、小池百合子に翻弄された男たちの小池語りを中心にした評伝である。そこにある西村眞悟の小池評がずば抜けて面白い。
西村は、新進党・自由党時代の小池を「やくざ世界でいえば、『姐さん』のようなポジション」だったと評し、上述のように続けるのだった。
その小池が今、姐さんから親分になった。今週の週刊文春、「小池百合子激白『安倍の延命は許さない』」では記者が事務所を訪ね、その小池を取材している。
《――創価学会婦人部には小池氏支持が今も多い。
小池 都政を最優先されるのが公明党さんの歴史です。私の女性政策など、婦人部の皆さんにも賛成が多く、執行部はお困りかも》
記事には、婦人部では改憲やカジノ法案をゴリ押しする安倍首相が嫌われる一方で、安倍と政策がさほど変わらない小池の人気は高いとの、公明党関係者のコメントもある。
取材カメラへの嗅覚
そういえばAERA・7月17日号で、創価学会関係者が、都知事選のときから婦人部の小池人気は高く、また「婦人部は民意そのもの。庶民目線で日常の課題と向き合ったり、テレビを見て感じたりしています」(注)と述べている。
Twitterには「ツイッターでは右も左も反小池一色だが、実際の世の中は違う。テレビを通じて、女だてらに男を斬る小池を痛快におもうひとたちが大勢いる」といった類の言説が流れるが、学会婦人部がまさにそうなのだろう、小池はテレビを通じて大衆をつかむ。
西村はこうも言っている。「拉致被害者の議連でも一緒やったけれど、テレビカメラが入ると、必ず映り込む。あれは本能やと思った」。ニュースキャスターから政治家に転身した小池は、取材カメラへの嗅覚まで備える、テレポリティクスの天才でもあった。