昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

2021/03/31

『無罪を諦めて、刑期を少しでも減らそうとしているだけだ』

 克行被告は、当初「一部でも認めたら応援してくれた人たちに泥を塗ることになる」と考えていたというが、「高齢者である長年の後援会の人たちが証言している姿をみて、独房で自問自答を繰り返し反省した」と考えを改めていったという。「逃げるのではなく、認めることが政治家の責任と考えるに至った」とまで語っている。

「特に傍聴席の注目を集めたのが、克行被告が20年来、世話になっているという教会の神父からの助言です。克行被告は、神父から『自分の内面に誠実に向き合ってください』と励まされたことも、罪を認める決心をする後押しとなったと語っていました」(同前)

 そう懺悔告白をした克行被告。一見すると罪と向き合い、深く反省しているように見える。しかしこの赤裸々に聞こえる告白に、地元広島の議員らからは疑いの目が向けられているという。

「広島の議員らは、『無罪を諦めて、刑期を少しでも減らそうとしているだけだ』と批判しています。実は克行被告が今回語った内容には、すでに法廷で明らかになっている事実と齟齬があるんです」(同前)

 克行被告の主張はこうだ。

 案里元議員が立候補する2019年まで、自民党が1議席、野党1議席とわけあってきた参院選広島県選挙区は「ぬるま湯」で、自民党広島県連が真面目に活動をしてこなかったと批判。

2019年7月、参院選広島選挙区で当選した河井案里被告 ©共同通信

 案里元議員が立候補し公認を得たことで、当時現職のベテラン、自民党の溝手顕正氏と党を二分する選挙となったことについて「切磋琢磨することで自民党の支持層も広がる」「溝手氏の支持層が案里元議員に流れることはありえない」などと票の奪いあいにはならなかったと主張している。また「県連は支援しなかったが、妻は溝手氏の名前を先に出して自民党のために頑張ると一貫していた」「私も企業をまわり2人当選しないといけない、と訴えた」と語った。

溝手氏へのネガティブキャンペーンも

 しかし、遡ること5カ月。10月に東京地裁で行われた公判でネット業者の男性の供述調書が読まれた。そこでは克行被告の指示で自民党広島県連や溝手氏を貶めるような記事を書いていたことが暴露されているのだ。

 また、尋問で女性元スタッフは「溝手氏が案里元議員に邪険な態度をとるかもしれないから動画を撮るように」などと指示されたとも証言しており、克行被告が溝手氏を陥れてでも、案里元議員を当選させようと、ネガティブキャンペーンをしていたことが明らかになっている。

 当時、溝手氏で一本化した県連の支援を得られなかった案里元議員。そのような情勢で克行被告は「厳しい戦いになる」などと話し現金を配って回ったわけだが、23日の被告人質問では「『厳しい戦いになる』というのは政治家の常套句で、当選できると思っていた」と話し、その証拠として、弁護側が案里元議員の支持率が上昇していくデータを示してもいる。

z