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カープがAクラスに入れないとお父さんに会えない…マツダスタジアムにいる“カバ”の親子の物語

文春野球コラム ペナントレース2021

 マツダスタジアムを盛り上げる「カバ」。隠されたカバの親子の物語。

 球場にカバがいる。毎年いろんな体勢のカバがいる。カープファンなら当たり前の光景だが日本中、いや世界中探してもカバがいる球場はマツダスタジアムだけだ。

 しかもただ「カバ」がいるだけでない。このカバには球場に来るカープファンへの思いと、深いストーリーが隠されているのだ。

 かーぱくんがマツダスタジアムのライトスタンド横にお目見えしたのは2013年。かーぱくんの除幕式には松山選手と岩本選手が呼ばれ、「なんで僕たちがカバ広場のお目見えに呼ばれたんですかね……。」とカバつながりを訝しむ一面もあったそうだ。しかしそんな疑惑をよそに子供たちはかーぱくんに触れたり背中にのったりと大興奮。すぐにマツダスタジアムの人気スポットとなった。

かーぱくん

 しかしなぜ球場のメインアニマルが「カバ」なのか。カープのメインアニマルは鯉ではないのか。そもそもメインアニマルという表現は合っているのか。カープ地域担当室の方が教えてくれた。

「実はカバはアフリカでは最強の生物と言われているんです。優しそうに見えて実は強い。さらにカープがチームとして浮上していく、というイメージにぴったりだったのでカバを採用しました。」

 確かに2013年はカープの全国人気に火がつき始めたタイミング。前年4位だったカープが浮上して最強のチームになっていく空気が漂っていた。そういう意味でカバは適任だった。しかしかーぱくんを作った目的はそれだけではなかった。

 「野球観戦の時間は平均で3時間以上あります。試合に飽きてしまう子だっている。子供達には野球以外でもずっと楽しんでいてもらいたいんです。マツダスタジアムの楽しい思い出を持って帰ってもらうことが何より大事なんです。」

 土地柄、家族観戦が非常に多い広島。かーぱくんはもちろん、さまざまなオブジェやフワフワドームなど、子供たちがワクワクできる空間が至る所にある。マツダでの楽しい思い出をもった子供たちが大きくなり、また家族でカープ観戦に行く。そうやってカープファンが代々続き、球場をそして選手たちを盛り上げるのだ。かーぱくんたちが担う役割は実は非常に大きい。

カープとともに浮上するかーぱくん

 そんなかーぱくんはその後毎年姿を変える。2013年に水中から顔だけ出していたかーぱくんは2014年には文字通り少し浮き上がる。それに伴ってカープも浮上の兆しを見せていく。

左から2014年、2015年、2016年

 さらに浮き上がる2015年。そして2016年。ついにかーぱくんが陸地に姿を現したその年。カープは25年ぶりの優勝を果たしたのだった。

 その後もカープの快進撃が続く球場で「戦うカバ」「宇宙遊泳するカバ」といろんなスタイルで子供たちを盛り上げたかーぱくん。三連覇の影の立役者はかーぱくんだったのかもしれない。

「戦うカバ」「宇宙遊泳するカバ」