ヤング・ジャイアンツの躍動に千金の価値があった春の夜
尚輝か湯浅クン終盤に守備固め入らないかなー、と思いつつイニング間に野球ニュースを見ると、試合前練習に新外国人スモーク、テームズ合流! シート打撃でパワフルなサク越え連発!!! との見出しが飛び込んでくる。
俺たちは呑気に楽しみにしているが、若手ピラニア軍団達は気が気じゃないだろう。
が、2人増えれば、2人がよみうりランド行きなのは当たり前。だったら結果を出し続けるしかないのだ。
そんな事を思いつつ、微妙な雰囲気の膠着戦(サンチェスのノーヒットだが1失点とか)に、風穴をブチ開けたのが、前述の崖っぷち野郎・廣岡大志であった!
そういえば4月頭のヤクルト戦でも一旦2軍落ちになった筈なのに、丸らのコロナ感染で即日1軍カムバックして代打で決勝3ベース! という、それが何かはわからないが、確かに何かは持っていそうな男、廣岡。
皆「ロマン枠」などと半笑いで気軽に言うが、ロマンだけじゃメシは食えねぇし、そもそもベンチにも入れない。
毎打席「生きるか死ぬかよみうりランドか」な覚悟で打席に立つ廣岡の気合いが、最後の一伸びの後押しをしたのかもしれない。
ヒーローインタビューを聞きながら、3年くらい前にヤクルト狂の友達とした会話を思い出した。神宮でノビノビと5の5打たれたちょっと後だ。
「あのショートの子、マン振り気持ちいいねー!! 石井琢朗と宮本慎也にシゴかれて1軍で使い続けて貰ったらそのうちブンブン丸2世っしょ!! 山田との二遊間結構怖えわー。あ、そういや村上くんは2軍??」
正直スマンかった! 当時、シン・ゴジラはまだ覚醒前だったのだ。
三たび近藤唯之の言葉を引用させてもらうが、マジで「未来の事は誰にもわからない」。
今じゃ琢朗も大志も巨人のユニフォームだし、俊太は横浜、田口もこの間はナイピーだった。そして遠くボストンではSAWAMURAが!!!
辰徳の「くすぶってるヤツ補完計画」が、正しかったかどうか答え合わせするだけでも毎日の野球が面白くてたまらない。
ちなみに「値千金」の語源を調べた所、中国の詩人・蘇軾の起句「春宵一刻値千金」という句に由来し、「春の夜はほんのひとときでも千金の価値がある」という意であるとの事。
低調だった巨人打線に活を入れたかの様な、この夜の決勝ホームラン。
その輝きが、ほんのひとときで終わるかどうかは、廣岡自身に懸かっている。
新外国人にはワクワクするが、ケツに火つきっぱなしのヤング・ジャイアンツを見るのはもっと楽しみだ。
「奪っちまえよ、レギュラー!!!」
毎度尚輝推しの俺だけど、そんなロマン溢れるフレーズをカマしたくなる、イイ春の夜の出来事。
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