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日本アカデミー賞がジャニーズへの忖度をやめた? 草彅剛「奇跡の受賞」が示す“巨大な変化”

2021/04/01
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二宮の受賞スピーチは「ジャニーさんとメリーさんとジュリーさん」

 SMAP解散騒動の渦中に行われた2016年の授賞式では、最優秀主演男優賞を獲得した二宮和也の受賞スピーチも話題になった。

「二宮の受賞スピーチは“ジャニーズ賛美一色”でしたね。前年に最優秀主演男優賞を獲得した岡田の話はともかく、『ジャニーさんとメリーさんとジュリーさんと、今までずっと迷惑をかけてきた人たちに、ちょっとは恩返しができたかと思うと、すごくありがたいです』と事務所の人の名前を出したのは異例でした。山田洋次監督(89)やW主演の吉永小百合(76)には触れずに、自分の事務所のトップへの感謝だけを示したわけですから。SMAPの解散が問題になる中で『誰に忠誠を誓うか』を公の場で示す必要があったのでしょうが、周囲はドン引きでしたよ」(映画関係者)

木村拓哉 ©文藝春秋

公取委の注意処分と、ジャニー氏の死

 しかし2020年には6年ぶりにジャニーズタレントが優秀主演男優賞にノミネートされず、今年は草彅が受賞と、ジャニーズとの蜜月は終わりつつある。両者の関係に亀裂が入るきっかけとなったのは、2019年7月に発覚したジャニーズ事務所に対する公正取引委員会の「注意処分」だったという。ジャニーズ事務所がテレビ局に対して、退所した3人のメンバー(草彅、香取、稲垣)を出演させないよう圧力をかけた場合、独占禁止法に触れるおそれがあるというものだった。

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「公正取引委員会による『注意処分』によって、ジャニーズもおおっぴらにテレビ局に忖度を要求することは難しくなりました。しかも、創業者ジャニー喜多川氏が2019年7月に87歳で亡くなり、副社長としてジャニーさんを長年支えてきた姉のメリー喜多川氏(94)も会長、そして昨年9月には名誉会長へと現場から退きました。2人のカリスマが去ったことで、メディアへの影響力が一気に落ちたんです」(テレビ局関係者)

 誰からも愛されたジャニー氏と、強権発動をも厭わないメリー氏という最強のコンビから後を継いだのは、メリー氏の娘の藤島ジュリー景子社長(54)と滝沢秀明副社長(39)だった。18年9月で現役を引退した滝沢氏は、ジャニー氏の死後の19年9月に副社長に就任した。