草彅が「ミッドナイトスワン」で演じたのは、男性として生まれながら女性として生きるトランスジェンダーの主人公。ニューハーフショークラブに勤めながら、育児放棄された遠縁の女児を引き取り、バレリーナとしての才能を応援しながら、「母になりたい」という感情を芽生えさせていく繊細な役柄を見事に演じきった。
「『ミッドナイトスワン』の内田英治監督は、ネットフリックスで大ヒットしたドラマ『全裸監督』の監督でもあります。草彅は地上波出演が激減していた2019年大みそかの『笑ってはいけない』(日本テレビ系)で、白ブリーフ一丁で全裸監督こと村西とおる監督のパロディーを演じたこともあり、実は縁があるんです(笑)」(同前)
ジャニーズと日本アカデミー賞の関係は密接だ。最優秀主演男優賞でも、2015年に岡田准一(40)が「永遠の0」で、2016年に二宮和也(37)が「母と暮せば」で受賞。今回も二宮が「浅田家!」でノミネートされていたが、草彅がそれを破って受賞した。
ジャニーズの影響力が急激に低下
「他に主演男優賞にノミネートされていたのは小栗旬(38)、佐藤浩市(60)、菅田将暉(28)と、今の日本映画界のトップ俳優ばかり。日本アカデミー賞は約4000人と言われる映画関係者が投票するのですが、かつては各テレビ局が出資した映画が持ち回りで受賞すると言われたほど、いろいろな意向が働きます。その中で、テレビ局が絡んでいない『ミッドナイトスワン』と草彅が受賞したことは本当に価値が大きい。ジャニーズに対する忖度が弱まったことの証でもあります」(映画雑誌編集者)
ジャニーズと日本アカデミー賞の関わりは、実はそれほど長い歴史があるわけではない。2007年には木村拓哉(48)が「武士の一分」で優秀主演男優賞にノミネートされながら、辞退したこともある。
「当時のジャニーズは、同じ所属事務所のタレント同士が賞をめぐって争うのは好ましくないということで、レコード大賞などの音楽賞も一切辞退していた。しかしそれならばノミネート段階で断ればいいのですが、ノミネートされてからの辞退ということで物議をかもしました。しかしその後ジャニーズは賞レースにも参加するようになり、2015年以降は毎年のように主演男優賞にはジャニーズタレントが入るようになったのです」(スポーツ紙芸能デスク)