“大人の対応”をしない担任と、記録に残そうとしない学校
10月29日、Aさんの母と祖父が学校を訪問。校長と教頭、管理職、担任が話し合いの席についた。このときの母親のメモによると、話し合いの結果、担任が聞き間違えたことにして、Aさんに説明することで納得した。しかし、担任はかたくなな姿勢を崩さず、主張を曲げなかった。
「先生の良心に働きかければいいと思っていたんです。教師だから嘘をついたとは言えないのではないでしょうか。校長は『その場にいないのでわからない』と言っていたんです。だから、せめて『お互い、勘違いがあったね』という大人の対応をしてほしかったんですが……」(同)
担任がAさんと話し合うことになった。しかしAさんが「2人では怖い」というので、母親と祖父が同席した。このとき、担任が大人の対応をすると思っていた。すると、担任は“大人の対応”をせず、平行線のままに終わった。
「学校を休んでいる間も、私がいない間に担任と学年主任が自宅を訪問したことがありました。そのため、息子にとって、家も怖い場所になってしまったんです」(同)
母親によると、この一連のやりとりについては文書に記録されていない。学校側から聞いた説明としては、「スクールロイヤーが、公文書に記録を残すことは、Aさんにとって不利益と助言した」というのだ。後日、話し合いの経緯について記録したメモが出てきたが、市教委は「日記」と判断した。また、記述内容も認識に違う点があることもあり、「引き継ぎ文書」としても扱われていない。
堺市教育委員会は「特に当初の対応については、当時の学校長の個人的なメモしかない。そのため、文書記録が残っていない。記録がないことは謝罪しています」(生徒指導課)としている。
もっと早く『学校へ行かなくてもいいよ』と言ってあげれば
Aさんが5年生になったときも、不登校が続いていることもあり、母親は「きちんと聞き取り調査をしてほしい」と願い出た。いじめ防止対策推進法によると、いじめをきっかけに不登校になった場合は「重大事態」と位置づけられ、学校や教育委員会は調査をする。しかし、Aさんの不登校は、教師の不適切な指導が理由だった。仮に“教師のいじめ”ととらえたとしても、いじめ防対法は子ども同士のいじめを前提としており、教師の言動は対象外なのだ。