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 結局、担任は交代したものの、Aさんの不登校は続いている。一時、学校に行けたが、心因性による嘔吐があった。保健室へ行こうとすると、「本当に体がしんどいわけじゃない」との理由で、職員室に行かされた。吐く時には、人目のない職員室の陰でしていた。気持ち悪くて「帰りたい」と言っても、「もうちょっと頑張ろう」と言われることもあったようだ。

「それまで息子の学校の思い出は楽しいものでした。しかし、2年半経った今でも、通学路を通れば吐いてしまいます。学校を連想するものでも吐いたり、頭痛がして過呼吸になります。体重も落ちました。今だから思うことですが、もう少し、親としてできることがあったと思います。もっと早く、『学校へ行かなくてもいいよ』と言ってあげればよかった」(同)

小学校4年生の6月、吐きすぎて痩せていたころのAさん(母親提供)

学校側のアフターケア不足で弟も不登校に

 学校の対応は十分ではないとAさんも母親も感じている。クラスメイトへの説明もない。そのためもあってか、同級生からも「学校に来ないと殺すぞ」「あいつ、頭、いかれているんちゃう?」などと言われた。Aさんは「学校へ行けない理由を説明してほしい」と言っているが、学校側は取り合わない。

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「弟も、元気だったAが段々と弱っていくことをそばで見ていたり、原因が先生だと知っていたために、学校でその先生にAのことを聞かれて怖くなり、Aが不登校になった2ヶ月後、学校へ行けなくなりました」(同)

 今年3月末、不登校だった兄弟2人が久しぶりに、仲良しの友達と近所に外出した。しかし、偶然、学校の児童と出会ってしまい、「お前、圧かけ過ぎやで」などと言われ、笑われてしまった。

「勇気を出して外出したんです。それは周りからしたらあたり前のことかもしれませんが、息子からしたらすごく勇気のある前向きな行動でした。でも、そこで『殺すぞ』と言っていた児童に会ってしまったんです。どうして、学校は放置したままなんでしょうか」(同)

Aさん(写真右)と弟(母親提供)

「学校には、しっかりと真実だけを説明してほしかった」

 堺市教委は筆者の取材に「当時の担任はすでに学校にいませんので、聞き取りはできていません。すべての点において、十分な対応ができていないということで保護者に謝罪をしています。校長が代わってからは、学校内の情報共有は重要だと指導しています。学校からはお子さんには会えているとの報告を受けています」(生徒指導課)と答えている。

 ただ、母親は「校長や担任と息子は1年以上、会えていません。不登校後の対応については、謝罪のようなものはありましたが、息子としては『本当のことを言ってほしいだけ』です」と話している。

 Aさんは今、どんな心境なのだろうか。

「学校の楽しさ、人との接し方、人生に役立つことを教えてくれる先生が、なぜ人が精神的に病むようなことをするのかがわからない。学校には、しっかりと真実だけを説明してほしかった。なかったことにしないでほしい。死にたいと思っている人に手を差し伸べるのが大人でしょ。なんで加害者を擁護するの?」

 3年の途中から不登校が続くAさん。通学できる環境が整備され、十分な支援がなされ、卒業までに登校できるようになるのだろうか。