Aさんが語る。
「以前、Twitterで《全国の消費者が見るホームページで、消費者をこき下ろして人種差別する人の気持ちなんてわかりません》と書かれた投稿を見かけて、リツイートしたことがあるんです。そのことを言っているのかなと思いましたが、そんなことまで咎められるのかとゾッとしました」
サクラ投稿に反対すると「会社を理解する意識がないなら」
Aさんは入社後、人事部の先輩社員と定期的に面談をしてきた。そのなかで“サクラ投稿”についても反対意見を伝えたことがあった。X氏はそうしたAさんの発言について、こう戒めた。
X氏 「この会社の事を好きにならないと仕事は続かない、会社を理解しようという意識がないと。その気持ちがないならいる意味ないからね」
X氏 「仮に会社に意見する時には、ある程度知識やスキルがあって自分に代替案があって言うべき。何もないのに文句言ってる人って相手にされないのわかるよね。どうして今まで気づいてくれなかったかなっていうのが現場の声です」
Aさんにはまったく納得ができない通告だった。
「就業規則」を見せてほしいと上長に頼んだら…
「たしかに自分の意見を言い過ぎたところはあると思います。学生気分が抜けきっていない態度もあったかもしれません。そこは反省しないといけないところだと思います。でも、会社を好きになるということが“サクラ投稿”や差別発言に異を唱えないということなら、それは違うんじゃないかと思いました。だからどうしても納得がいかず、この場で自分から退職しますとは言えませんでした。
まずは自分のどの行為が退職を勧められるほど悪いことなのかを確認したかったため、『就業規則』を見せて欲しいと研修先の上長に頼みました。すると『情報が古くて更新しないといけないから待ってくれ』と言われたまま、見せてもらえませんでした」
DHCに長く勤める社員が説明する。
「DHCの就業規則は各ビルに1~2冊程度しか置いてありません。預かる部署が決まっていて、それ以外の人は申し出て読むのですが、複写は禁止なのでそもそも就業規則の存在を知らない社員がほとんどです」