男性モデルは「ナポリタンについているパセリ」みたいなもの
モデルになってからも、決して「売れっ子」ではありませんでした。雑誌「メンズノンノ」の専属モデルも2年間やりましたが、表紙は一度もできなかったし、後ろのモノクロページで「浴衣の着方」特集のモデルをやったりしていました。
「メンズノンノ」をやめた後は、ギャラの良い「チラシのモデル」もやりましたよ。
雑誌の撮影だと、1カット撮るのに、フィルムを2~3ロール贅沢に使うんですが、チラシだと、100カットくらい撮るので、1カット3枚~5枚でカメラマンのOKを貰わないといけない。だから、一発OKの出る“かっこよく撮れる決め型”みたいなものを、必死で研究して……。それですごく鍛えられたと思います。
でも、20歳になった時、ふと、ずっとこの仕事をやっていて、将来、家族を養えるのかなと、思ったんです。
モデルの世界は、やっぱり女性優位。雑誌も広告も女性向けのものが多いし、そもそも男性モデルって、「ナポリタンについているパセリ」みたいなもの(笑)。でも、役者の世界なら男女の差がそんなにないんじゃないかと思って、今度は役者の勉強を始めました。
23歳で、映画『花より男子』のオーディションに受かって、俳優デビューしました。それまでは、わりと何をやっても器用にこなせる自信があったんですが、それを打ち砕かれたのが“演技”でした。役者なのに演技が下手で「ロボット」みたいだと言われたりもしました。案の定、その後、しばらく仕事もなく、辛い時期が続きましたが、でも、その時期があるからこそ、今もいただいた仕事は、基本断らないようにしようと思っています。
思い返すと、20代途中までずっと“中二病”にかかっていたんでしょうね。「役者は、ドラマじゃなく映画だろ」と思っていましたし、「映画のほうが作品として価値がある」なんて言っていました(笑)。
でも、今の事務所に入り、ドラマもやれと説得されてドラマもやるようになり、やってみたら楽しくて、今度はバラエティもと言われ、それも、やったら楽しくて。そしたら今度は、司会もと言われて、さすがに無理だと思ったんですけど、うまくだまされて、やるようになって。やっと“中二の3学期”が終わって、卒業しましたね(笑)。