カジノ設置の隠れた目的とは?
次に反対派だ。
最大の反対勢力が、とにもかくにも共産党だ。
「野球なんて見たことないし、硬い球を投げて頭にでもぶつけたらどうするのか! 打った球が人に当たってケガでもしたら誰が責任取るのか! 娯楽などなくても人は生きていける。そんな危ないことはやめるべき」というのが彼らのスタンスだ。
従来からカジノは犯罪の温床であり、ギャンブル依存症も招くと主張するが、実は彼らには見落としている重大な点がある。すでに世の中にある違法カジノの問題をないことにしている点だ。
現在、世界の約120カ国以上で合法カジノが設置されているが、観光振興という表向きの目的の他にもう一つ、「違法カジノ(裏カジノ)の排除」という目的がある。裏カジノはそのまま裏社会の資金源になるからだ。日本も、都内だけで数百の裏カジノがあると言われるが警察とのイタチごっこ。それを解決する唯一の手段が合法カジノに客を誘導し、裏カジノが成り立たないようにすることである。
かつてロンドンに100軒以上あった裏カジノも、合法カジノ設置によって消滅した。これはアメリカで失敗した「禁酒法」に学んだ政治手法であり、知らなければ政治家としてモグリである。
共産党や、次に触れる社民党などは合法カジノの設置によって犯罪が増えるというが、話はむしろ逆。決められた区域に合法カジノを作ることで違法行為を防ぐ効果をきちんと認めるべきだろう。
「野球なんてやったら他のスポーツの客が減るじゃないか。他のスポーツのために野球はやめておくべきだ」というのが社民党。この党には一つ特有の歴史がある。故土井たか子党首はパチンコ業界と密接な繋がりを持ち、朝鮮総連とも関係が深かった。パチンコ企業の経営者には今もなお北朝鮮系の人が多く、カジノが出来るとあおりを食らいそうなのがパチンコだ。社民党がカジノに反対するのはパチンコ業界への義理と揶揄されているのもそれが理由だ。
もう一つ、反対陣営に加わったと見られるのが立憲民主党だ。
「元カレは野球が好きだったけど、私が嫌うからギクシャクしていた。でも先日別れたから、もう気兼ねなく反対できる」といったところ。民主党政権時代はカジノ推進だったが、下野して蓮舫代表になると一転して反対を表明。しかし、党幹部にも中心的議員にも賛成派が多かったため、意見は割れに割れ、しまいに党まで割れてしまった。
結果的に、希望の党に行った中には賛成派が多く、立憲民主党に移った中には反対派が多いが、かつて政権を担った経験から、カジノのプラス面もきちんと評価し、いかに現実的に対応できるかで党の資質も判断されるだろう。
以上、カジノ賛否で各党をまとめたところ、憲法改正や安保法制に賛成の党はカジノにも賛成で、それらに反対の党はカジノにも反対であることに気づかされる。これには違和感を禁じ得ない。
カジノはそもそも人々を楽しませる文化、遊びであり、戦争などの概念とは対極にあるもの。合法カジノを堂々と設置し、人々にゲーム上で戦ってもらえば、現実社会での不毛な争いを少しくらいは減らせるかもしれないし、成熟した大人が責任をもって楽しむ憩いの場にもなる。反対の党には「戦争をやらずにカジノをやろう」というくらい、頭を柔軟にしてもらいたい。