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 副主幹統括局長は、息子の行為について「悪いことは悪い」と認めつつ、「コンプラに上げるのは間違っている」ときっぱり。通報制度の趣旨を完全否定し、「あんたも仲間から疑われたら嫌やろう? 協力して」と、通報に関わる情報を知らせるよう念押しし、ようやく局長を解放した。

 同じ日の夜。脅された局長が属する部会の数人の郵便局長にも緊急招集がかかり、地域の公民館に集められた。部会長を務める郵便局長は「ぶっちゃけ言うと、内部通報があります」と暴露し、コンプライアンス室による調査があったことも明かしながら、こう説明した。

「内部通報した人っていうのは、この部会におるっちゃないのかって、疑われています。全員が疑われています(略)もう会長(=副主幹統括局長)からは私たちの部会、まったく信用されていません。信用されてなくって、これから先、どう仕事やっていくのと。やれないよと言われて、わかったとはいきません」

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 部会長は「だから」と言葉をつなぎ、“犯人捜し”をこう始めた。

「皆さんの身の潔白っていうものを示していただかないと、私も皆さんを信用して仕事することができないです。だから、今から聞きます!」

 部会長は“お手本”を示すように、こう切り出した。

「私は、この内部通報に関しては一切関わっていません。断言します。もし関わっているとあとからわかったときは、職を辞します。では、次!」

 そう言って、別の局長に同様の宣言を促す。すぐ後に「これはおかしい」という声が出て“潔白宣言”は中断されたが、部会長の局長はなおも求め続けた。

「万一、関わっているようなことがあったとき、『この場で言いにくかったから』ちゅうて、僕の携帯にかけてください。早ければ早いほうがいい。何か知っていることがあれば、言ってください」

 なんとか通報者を割り出そうという必死の形相は、副主幹統括局長がどれだけ怖いかを物語っている。

後編に続く