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「もう一回こないかな~」パチンコ関係者にとって“待望”だった休業要請…とある店長がもらした“本音”とは

『パチンコ崩壊論』より #1

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大崎 でも、民度の高まりは、すなわち業界に落とすお金が減ってしまうことを意味するわけで。キレイに遊んでくれる、でも勝って帰る。ドツキ回すけど負けてくれる。さて、業界にとっていいお客様とは果たしてどちらだろうって話で。

ヤング 何をもってイイお客さまとするのか、これも価値観次第でまったく変わってくるわけじゃん。そして、業界の着地点をどこに置き、どう考えるかでも。正解なんてわからんから、オレはもう面白いとしか見てないけどさ。

客は納得して負けるべし

大崎 だから!客を増やすための確たる道がまだ見えない以上、我々にやれること、そして誰もが損をしない方法はただひとつ。『滅亡論』からの繰り返しになるけど、「わかったうえで負けよう」「納得して負けを受け入れよう」ってバカなことを言い続けるしかないんだよ。冗談ではなく。あれからいろいろ考えたり、いろんな関係者から意見も聞いたうえで、もうこれしかないって。

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ヤング 究極の結論だよね。「はい、この台の回転率なら期待値マイナス。13時間打ったら1万8000円負けます」「おそらく設定1です。出玉率は97・5%です」を受け入れて楽しく打つ。わかったうえで負けてりゃ誰も損しない。ていうか、それでもたまに出ちゃうのがパチンコ・パチスロだから、もうそれでヨシとしようぜって話だよね。

大崎 現実問題、適当に打つとそういう台ばっかりなわけ。でも勝てるはずだと納得できないからムカつく、パチンコから離れる、深追いしてお金がなくなる。そうならないよう、楽しんだ時間なりの遊技代金はちゃんとお支払いしましょう、時間消費型レジャーに参加した消費者として当然のふるまいをしましょうって当たり前の話をしているわけ。ナンセンスかもしれんけど。

パチンコにおける理想の世界は共産主義?

ヤング でもさ、今の台で遊んで1時間1000円とか2000円は、正直高いよな。

大崎 うん、だからいっそ、パチスロは設定なしの出玉率99%でいい。パチンコも釘触れないようにして、ボーダーマイナス1回で揃えたらいい。そんな台、誰が打つかって? いや、「イイお客さん」はむしろ喜ぶんじゃないの? 今がひどすぎるわけだからね。そしてプロはいなくなる。勝てるから打ってた人は気の毒だけど、お金じゃなく本当にパチンコ好きで打ってたなら、それでもきっと楽しみ方を見つけてくれると信じたい。

ヤング パチンコを倒せーとかイキってたヤツが、よくそんなこと抜かせるなって話だけど、でもナベツネ(*10)だって元々は共産党員だったわけだもんな(笑)。

*10 読売新聞グループ本社代表取締役主筆の渡邉恒雄。大正15年生まれの御年94歳。球界の独裁者と呼ばれ保守の権化のようなイメージのナベツネが元共産党員だったのは意外

大崎 そうだよ!クルッと転向してるんだよ!

ヤング どうすれば国民全員が幸せになれるのか?を真剣に考え続けた結果「マルクス主義は……うーん、やっぱり違う!」ってなったわけじゃん、ナベツネは。知らんけど(笑)。

大崎 逆にパチンコにおいては共産主義こそ理想の世界(笑)。存続を前提に落としどころを考えたら、やっぱり「客がわかったうえで負ける」以外はないんだよ。一応、今のところはと付け加えておくけど。

ヤング だから我々も転向は転向なんだけど、パチンコのことがずっと好きで、深く知ってしまったがゆえの変節なんだから、とりあえず愛を貫いてるとは言えるんじゃない?(笑)

大崎 でもまあ、我々が何を言ったところで、客の意識が変わるとは考えづらいからなぁ。「わかったうえで負けましょう!」とか言ったところで「うるせえよ、バカ!」の一言だよね(笑)。