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「もう一回こないかな~」パチンコ関係者にとって“待望”だった休業要請…とある店長がもらした“本音”とは

『パチンコ崩壊論』より #1

note

「ほかの商売がバカバカしくなる」

ヤング うん、理想論にすぎるのは承知してる。でもさ、崩壊しないためには納得して遊ぶ人たちを少しでも増やしていかなければいけないわけじゃん。

大崎 だから居心地をよくする、サービスをよくする。遊技そのものだけじゃなく、トータルの魅力でパチンコ屋に足を運んでもらうようにする。ビジネスモデルの大転換を熱望したい! かと言って、店側の思想が変わることも、ちょっと考えにくい。昨日さ、あるパチンコ屋のオーナーと飲んだんだけど、5時間ずっと下ネタの話をしてんだよ(笑)。

ヤング いやいや、下ネタと経営思想は別モノだろ(笑)。

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大崎 そのオーナーは他にもいろんな事業をやってるんだけど、曰く「パチンコは一発当たったときの破壊力がありえないくらいデカい」んだと。「もうほかの商売がバカバカしくなるくらい」って言ってた。パチンコ屋の一発逆転幻想ってのはまだ根強く残ってるんだよね。

ヤング 山っ気の強いオーナーっていっぱいおるもんなぁ。てか、客と一緒じゃん(笑)。

大崎 同じだよ(笑)。だから韋駄天(*11)が出たら「1ボックス勝負じゃー!」とかなるわけじゃん。早々に大量導入した店は、賭けに勝ったわけだからね。

*11 20年4月に三洋物産から発売された一種二種混合タイプのパチンコ台、P大工の源さん 超韋駄天のこと。RUSH突入率60%で継続率が約93%。圧倒的な出玉スピードで瞬く間に人気機種となる

P大工の源さん韋駄天を打つ、大﨑&ヤングの2人 筆者提供

ヤング だから1台3000円の利益でお客さまを楽しませる遊技場に転換していきましょうとかいってもさ、客と同じく「バカじゃねーの?」の一言だよ。あと、さっきの旧規則機撤去問題もそうだけど、そんなもん儲かるんだからしょうがねーだろって店も出てくるよね。「えー、ここはひとつ業界の10年後、20年後を考えて……」なんて理想論を言っても、トッポい店からしたらそんなの知るかってことになるわけで。

大崎 コロナで休業しなかったある店の店長は、ブッコ抜きでも連日パンパンの稼働になっちゃって、もう一回休業要請こないかな~って言ってた(笑)。いや、笑いごとじゃないんだけどさ。

ヤング 店も店、客も客ってことになるのかなぁ……。そりゃ収まるわけもないって話。やっぱり崩壊に近づいてるとしか思えんな。

濁った水は居心地がよい

ヤング 何度も言うけどさ、結局こうなったすべての要因はインターネットなんだけど、ネットが元凶だってわかったところで、どうしようもないからね。元には戻れないし、何の解決策もないから。

大崎 元凶て(笑)。きみは本当にネット嫌いだけど、いや業界としてもプラスの面はあるわけじゃん。台や店のプロモーションしかり、エンタメとしても実戦動画とかツイッターとか。ただ、パチンコ業界の思惑とはマッチングが悪いというか、ネットを活用してゼニを取りに行きたい客のエネルギーにはかなわないよね。

ヤング 人を動かすのはゼニの力だから。それが射幸心ってことだから。そして業界として望ましい方向とは逆のベクトルにネットを引っ張ってる。

大崎 そうなんだよな。どんなにかわいいアイドル店員(*12)が「打ちにきてね~♪」とか健全に頑張っても、姑息な手段で高設定アピールする店があったらそっちのほうが拡散されるし、集客するわけだからね。

*12 ホールで働いているカワイ子ちゃんを自前でプロデュースできれば無駄な宣伝費をかけず集客効果が望めます