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「もう一回こないかな~」パチンコ関係者にとって“待望”だった休業要請…とある店長がもらした“本音”とは

『パチンコ崩壊論』より #1

note

清く正しくそしてツマらなくなったパチンコ業界

ヤング グレーとされてることを先んじてやったヤツが勝ってきた世界だから。

大崎 「やったもん勝ちを何とかしないと」って意見もあるんだけど、どうにも線が引けなかったり、ネットにはシロクロつけられない話がメッチャ多いわけよ。しかも、完全クロじゃない以上、ペナルティの科しようもないわけで。

ヤング グレーなうちにやりまくって問題化してルールが決まる前に儲けきった奴が勝ちだから。

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大崎 本来はそういう隙間をすかさず見つけて、そこに手を突っ込んで金が儲かるスキームを作り上げていくっていうのが、メーカーにせよホールにせよ、本来のパチンコ業界のメンタルだったんだよね。

ヤング 打つか打たせるかの違いだけで、金を取りにいくって意味では客も業界も同じことをやってきた。それが隙間が次々に埋められて、回るお金が減って先鋭化するヤツ、いやだからちゃんとやるべきと正論に立ち返るヤツ、客と同様、業界内でも価値観の多様化と分断が進行してるんだよ。

大崎 時代に合わせて清く正しくなってきてる状況をどうこう言いたくはないけど……なあ、本当にツマンネーとは思うよ。マジで!

ヤング その「時代」こそインターネットそのものだから。パチンコを清く正しくそしてツマんなくしたのはネットなんだからやっぱり元凶なんだよ。そしてそういう点でのエンタメ性は明らかになくなった。金を取りに行く客の立場からすれば、隙を突く店や業者のほうが夢はあったし面白かったんだけど。

©️iStock.com

大崎 我々は清い水に馴染めないドジョウだから、濁り水のほうが居心地はいいわけだよね、本音を言えば。パチンコの未来を考えよう(*13)ってオンサロを主宰している立場もあるから、声高には言えないけど(笑)。

*13 大崎が主宰しているオンラインサロン。オンサロと聞くと金儲けのにおいしかしないのだが、パチンコの未来を考えようでは大崎さんは全然儲かっていない様子。私がいうのも何ですが、2人は金儲けの才能がないわけじゃないのに、その美学ゆえ金儲けができない。そのくせ金儲けしたいなぁ~と叫ぶので面倒くさいのです

ヤング それを自覚したうえでガンガン負ければ何の矛盾もないんじゃない。え、何か文句あります?って(笑)。

健全な業界人の増加

大崎 たださ、昔の業界人メンタルとは無縁の、本当の意味で健全な業界人が増えてるのは事実で、そういう人たちがいずれは次世代を担うわけだし、徐々にだけれども水はもっと清くなっていくよね。つまんなかろうが、それで客が増えればいいんだよな。どっちに転ぶかは……神のみぞ知る。

ヤング パチンコってさ、メーカーも店も業者も客も、ヘタしたら良識ある世間からはみ出してしまいそうな、ちょっといけんヤツにとってすごく居心地のいい世界だったじゃない。オレはまさにその部分に魅力を感じてパチンコに吸い寄せられたみたいなところがあるんだけど、そこすらもグローバル資本主義化して、ダメなやつは排除されてくってさ……。夢がないしさ、さみしいよ……。

大崎 個人的な感情はどうでもいいんだよ。もしそんな業界になっても、楽しく負けてくれる客が増えるんなら文句言う筋合いはないわけじゃん。

ヤング そうだよ。でもそうなったらもう我々には居場所なんてないんだよ。それだけは間違いないわ(笑)。

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パチンコ崩壊論

大崎 一万発 ,ヒロシ・ヤング

扶桑社

2021年3月23日 発売

「もう一回こないかな~」パチンコ関係者にとって“待望”だった休業要請…とある店長がもらした“本音”とは

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