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コマーシャルで使われた「小道具」

 そこで、いまはやりのアンティクのショップ、つまり骨董屋(こつとうや)、昔流にいえば、古道具屋を探してみることになりました。偶然見つけた店が、テレビ局や映画会社、またコマーシャルフィルムなどに、あれこれ「小道具」として家具を貸してる、という、とても変わった大きい店で、私が女優であるといったら、ひげをはやした店主はすっかり親近感をおぼえたらしく、なんでも安くしてくれる。私がベッドが欲しい、というと「じゃ、これがいいでしょう」と、店の表に止めてある車の中の、クラシックでたっぷりとゴージャスなベッドを指さしていいました。「いいけど、いくら?」「一万九千円でどうです? 新しいマットレスつきで」「安い! 買いましょう」「ただし、これからコマーシャル撮るのに持って行くから、明日の朝、届ける、というのでどうです?」「えっ!?」というような話し合いの結果、その日の本番が終り次第に夜、運んでくれる、ということで話がつきました。どんなシーンを撮ることやら。でも来年、いらなくなった時に、傷つけてなきゃいい値段でひきとってくれるという親切な申し出もあり、結局、買うことにしました。

 それ以来、私はそのベッドに寝ているわけですが、寝心地は結構であります。

 明日には、テレビドラマで使った緑色の長椅子と、コマーシャルに使ったじゅうたんが届くはずです。

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 願わくば「撮り残しがあったから、ちょっと返して!」なんて、ベッドを持っていかれるなんてことのないことを!

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