2020年(1月~12月)、文春オンラインで反響の大きかった記事ベスト5を発表します。ライフ部門の第5位は、こちら!(初公開日 2020年12月13日)。
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年齢を重ねて頭頂部が寂しくなる切なさは、経験者にしかわからない……。カツラや帽子で薄毛を隠している人もいると思うが、隠し通せずに悲劇を招くこともある。
先月、インドのムンバイ在住の女性が結婚したばかりのパートナーの男性を提訴した。ふたりはお見合いで出会い結婚。しかし、結婚後に彼がカツラで薄毛を偽っていた事実が発覚した。女性は、薄毛以外にも男性に対して不信感を抱いていたものの「ハゲているとわかっていたら結婚しなかった」と語っているという。インドのナヤ・ナガル警察は、男性を「背信行為」などの容疑で逮捕する予定だ。
このニュースに多くの薄毛男性がショックを受けたに違いない。もちろん、カツラがバレて逮捕……とまではいかないが、薄毛にまつわるトラブルは悩んでいる人の数だけ存在する。
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カツラをかぶったことで「世界が光り輝いて見えました」
増田晴敏さん(仮名・52歳・不動産関係)は、30代の頃から薄毛に悩み、40代に突入してすぐにカツラの装着を決めたという。
「当時は頭髪が少し薄い程度だったので、思い切ってカツラをかぶりました。完全にハゲてからカツラにすると周囲にバレてしまいますからね……。中堅のメーカーでカツラをオーダーメイド。費用はだいたい30万円ほどかかりました」
決して安い買い物ではないが、増田さんは若い頃からのコンプレックスが解消されてうれしかった、と振り返る。
「大げさですが、世界が光り輝いて見えました。とはいえ、カツラって想像以上に不便なんですよね。私のカツラは、ピン金具で装着するタイプで、強い風や湿気が弱点でした。ドライブデートの流れで展望台に行くと、カツラが風に飛ばされないように手で押さえなければならず、景色どころではありません」
さらに大変だったのが、接待や仲間内で行くゴルフだったという。強風に晒されるうえ小雨の中でラウンドする日もあり、カツラにマイナス要素しかないスポーツなのだ。