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【日本シリーズ】CS制度はDeNAファンに救われた気がした

文春野球コラム 日本シリーズ2017

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CS制度はDeNAファンに救われた気がした

握手する工藤監督とラミレス監督 ©時事通信社

 その2017年のセ・リーグは圧倒的な強さで広島が連覇を達成するも、最後はラミレス監督率いるDeNAが勝利の美酒に酔いしれた。CSでは3位から雨中の甲子園決戦を制し、敵地マツダスタジアムで初戦を落とすも中止を挟み怒濤の4連勝。当然、こうなるとペナントの価値という議論は起きる。でも、知り合いの多くのDeNAファンは日本シリーズ出場を素直に喜んでいた。それを見て、なんか救われた気がしたよ。だって、あそこで勝った側のファンまで冷めちゃったら、泥だけになってプレーした選手たちが報われないっすよ。CS制度が問題だらけなのは、みんな分かってる。当然、3位チームが勝てばリーグ優勝の価値という意見は出るだろう。けど、メリットとデメリットを比較してプロ野球を“ひとつの興行”として考えた時に、CS制度がもたらすものはマジで大きい。今季のセ・リーグように夏頃には早々に優勝争いに対する興味が失われしまうペナントレースの展開において、膨大な量の消化試合を消してくれたわけだから。このシステムが結果的にどれだけの人とカネを球場に落としたか。プロは夢や理想だけじゃ飯は食えない。

 そりゃあカープファンの気持ちも分かるよ。だって、俺は巨人ファンだけど過去に07年、14年と2度もリーグ優勝しながら日本シリーズ出場を逃してる。正直、当時はなんだよこのルールなんて思った。でも、今シーズンはそのCSのおかげで最後まで3位争いが楽しめた。何事も永久に勝ち続けるなんて不可能だ。13連敗で4位に終わった巨人もわずか4年前は2位に12.5ゲーム差つけて独走優勝、CSでは3位カープにあっさり3連勝してるんだよ。それが、いまやこのザマだ。プロ野球は儚い。スーパースターもやがて衰えるし、人間がやってることだからどんなチームにだって過渡期はある。喜びも悲しみもいつか自分の順番が回ってくるわけさ。

 だからこそ、勝った時くらいは遠慮せず腹の底から喜んではしゃぐべきだ。日本シリーズ出場チームは、開幕から真剣勝負を150試合近く戦ってようやくここに辿り着いた。この時期は普通、みんなドラフト会議で未来のスター候補に夢を見る。でも今、勝ち残っている2球団のファンが見ているのは日本シリーズという現実だ。

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 いわば、夢を超える現実。いつまでも夢見る野球ファンじゃいられない。最高の現実を体験するために、今夜も日本シリーズを観戦しようと思う。

 See you baseball freak……

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