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「そのマンション100歳まで住めますか?」 コロナ禍の家選びは「フーテンの寅さん」に学ぶべき理由

2021/05/04

 コロナ禍の収束がなかなか見通せない中、最近は家選びの傾向が変わってきているという。つまり、これまでの都心一辺倒の家選びから、郊外での戸建てやマンションを選ぶ傾向が出てきていることだ。

 こうした傾向はコロナ禍によって、会社で働くワーカーが通勤を前提とした働き方から、テレワークを取り入れて、週1回、あるいは月2、3回程度の勤務体系が常識化していることが背景になっているといわれる。

超高層マンションの林立と「都心のタワマンは買い」という常識

 現在の東京都心部は、超高層マンションが林立している。特に東京湾岸部、豊洲、晴海、月島、勝どきから芝浦、品川にかけてはタワマン村といってもよいほどの林立ぶりである。これら超高層マンションの多くは、もともと工場や倉庫などがあった場所で、産業構造の変化で、多くの工場が東アジアや東南アジアに移転。その跡地において、大都市法を改正して容積率を2倍から3倍に嵩上げして、建設されたものである。

 また最近ではJRの主要駅の駅前を中心に、市街地再開発の手法などを用いて、既存の商店街を再開発。その計画のどれもがお約束のように総戸数数百戸にも及ぶ超高層マンションを建築、分譲している。これも再開発という網掛けを行うことで容積率を上乗せし、超高層マンション建設を誘導している。

 夫婦共働きが当たり前の時代、会社に通勤するのに便利な都心部のマンションを選ぶのはごくあたりまえの選択肢であったし、タワマンはそうしたワーカーたちの要望を満たすものでもあった。

©️ iStock.com

 都心居住への誘いは、都心のマンション価格の高騰をもたらした。続々建設される超高層マンションに人気が集まれば、当然マンション価格も跳ね上がった。折しも、アベノミクスによる超金融緩和策と住宅購入に際しての圧倒的な税制優遇、史上最低レベルに落ち込んだ低金利が後押ししたことは言うまでもない。価格があがれば、さらに国内外からの投資など新たな需要を引きずり込んでマンション価格は上がり続けた。特に2013年から17年頃にタワマンを買った人の多くがかなりの含み益を持っているのは事実であるし、私の知人で、賢く売り抜けた人も少なくない。

 ずばり「都心のタワマンは買い」という常識ができあがったのだ。

麻布や青山、赤坂、白金のブランド立地は特別

 だが、同じ法則がいつまでも続くほど世の中は甘くはない。コロナ禍がきっかけになって始まった郊外への需要シフトをどう考えるべきなのだろうか。よくこうした傾向について、ネットなどでは、都心のマンションは絶好調、郊外シフトは一時的な現象、コロナが終われば人々は再び都心に戻るから、価格は維持される、もっと値上がりするといったコメントが並ぶ。本当だろうか。