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“ドミニカ共和国空軍出身”ロッテの秘密兵器、ホセ・アコスタ投手を知っていますか?

文春野球コラム ペナントレース2021

2021/05/22

 日本から1万3206キロ。遠くドミニカ共和国から異国の地での成功を夢見て、2020年に千葉ロッテマリーンズに入団した選手がいる。ホセ・アコスタ投手、背番号「128」。

 ファンの中でも彼の事を知っている人はそう多くはないだろう。2019年ドミニカ共和国にて千葉ロッテマリーンズが開催したトライアウトによって、ポテンシャルの高さを見込まれ契約に至ったダイヤの原石。150キロを超える力強いストレートに、キレのあるスライダーとスプリットを投げる27歳だ。今回はそんな彼の野球人生の一部をファンの皆さんに知ってもらいたく、この記事を書こうと思い立った。

ホセ・アコスタ ©千葉ロッテマリーンズ

契約したのは「ドミニカ共和国空軍」

 10人兄弟の5番目。兄の影響により野球を始めたのは11歳。当初は肩の強さを買われ、外野手だったが14歳の時にライトからホームへの送球をした際、周囲をあっと驚かせるようなレーザービームを見せたことで投手に転向することになる。祖父が芋、バナナ、トウモロコシなどをつくっていたため、農業を手伝いながら学校に行き、野球の練習も一生懸命にこなした。全てはいつの日か野球で成功しお金を稼ぎ、家族を楽にしたい一心からだった。しかしすぐには契約まで至らず、仕事をしながら野球の練習を続けメジャー球団が主催するトライアウトを受け続け、チャンスを待った。

 始めて野球で生計を立てられるようになったのは2016年の事。契約したのはメジャーリーグの球団ではなく、なんと「ドミニカ共和国空軍」というから驚きだ。空軍には野球チームがあり、チーム力強化を目指し投手を探していたため、そこの選手として雇用された。

「軍としての仕事は日常的には無かったけど、選挙がある日には軍の制服を着て警備にあたっていたよ。やっぱり軍の制服を着ると気持ちが引き締まったし誇らしく思った。月曜日が休みで、平日は練習、週末になると試合を行うようなスケジュールだったよ」と当時を懐かしみながら語ってくれた。

 2017年~2018年はドミニカ共和国のアマチュアリーグでプレーをし、2019年に再びドミニカ共和国空軍に戻った。地道な努力を重ね成績を残し続けた結果、同年にドミニカ共和国代表に選ばれペルーで行われたパンアメリカン競技大会に出場。対ニカラグア戦にて、164キロを計測。その投球を見ていたニカラグアの国内リーグチーム、ヒガンテス・デ・リバスよりスカウトを受け、ウインターリーグに参加することになった。

 ウインターリーグ後にドミニカ共和国に戻ると知り合いから「日本の球団がトライアウトするみたいだけど参加してみたらどうか?」と提案があり、参加をすることを即答した。そして見事に千葉ロッテマリーンズの目に留まり、契約に至った。

「ニカラグアのウインターリーグは3か月のみで、もっと長く環境の良い場所で野球がしたいと思っていたからチャンスだと思ったよ。ドミニカで仲良くしてもらったマルコス・マテオ(阪神2016-2018)から日本の野球について色々と聞いていて自分も興味があったんだ。実際に千葉ロッテマリーンズから連絡が来たときは嬉しかったよ。自分の将来のために日本でのキャリアは最適だと思った。育成での契約だったけど自分を信じてやるしかないと思った」と話す。