「男子三日会わざれば刮目して見よ」なんて格言があるけど……「ロッテ三日試合なければ刮目して見よ」という気分である。

 前回、ゴールデンウィークに関する勝敗ネタを調べたが、そのゴールデンウィーク前後もまさかの出来事が続いた。(文春野球の)近藤監督が直々に視察に出向いたメットライフドームの西武戦では、正捕手の田村龍弘がまさかの負傷離脱。なおかつ石川歩が8回3失点の好投ながら、2年目の上間永遠にプロ初勝利をプレゼントとなった。

「至近距離で田村の負傷を見てしまいました」
「泣けます、大いに泣けます」
「でも茂野さんの記事通り、GWの躍進に期待しましょう」
「ですね……ポジロッテでいきましょう」

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 こんなLINEのやり取りから数日後、5月3~5日の日本ハム戦はご存じの通り延期となった。こればかりは選手の健康が最優先だから仕方ない。しかし他のチームが試合をやってるのに、3日も試合間隔が空いて大丈夫なのか――と思ってたら、オリックス戦を2勝1敗で勝ち越し、続く王者ソフトバンク戦も1勝1分け。特にソフトバンクとの2試合目は6-8と再逆転を食らった瞬間、そっとテレビのチャンネルを替えた自分の至らなさを責めたい次第である。

 攻守ともにしぶとい戦いぶりの中で、存在感を見せているのが角中勝也だ。12日終了時点で打率.333で、常人離れしたバットコントロールはいまだ健在のように映る。

角中勝也 ©文藝春秋

 平井光親や福浦和也から連なる“ロッテ左のアベレージヒッター”フェチな自分としては、角中の活躍がうれしい限り。近藤監督とのLINEでも“角中スタンプ”の連打が続いている。

 そんな角中だが、「五輪イヤーになると活躍する」という記事がネットで話題になっていた。ロッテファンの方々はご存じと思うが、念のため角中の五輪イヤー成績は以下の通り。

<2012年>
128試合 打率.312 477打数149安打 3本塁打61打点 8盗塁
※首位打者、ベストナイン

<2016年>
143試合 打率.339 525打数178安打 8本塁打 69打点 12盗塁
※首位打者、最多安打、ベストナイン

 何と素晴らしい成績。ちなみに2016年は68個も四球を選んでいて、出塁率は.417である。「そんな球をヒットにしちゃうの……?」というゾーンの広さとともに、しっかりと出塁する選球眼には脱帽するばかりだ。ここ4年間は打率2割台が続いていたが、この調子で打ち続けてもらって、ぜひ久々の規定打席3割台を期待したいものである。

角中が特集された2012年のNumber。なんとロンドン五輪号での野球特集記事の一角でした ©茂野聡士

21世紀の五輪イヤーで好成績を残したロッテ選手

 さて五輪開催に暗雲が漂いまくっている昨今だが……角中の成績を見て思いついた。

 21世紀の五輪イヤーで好成績を残したロッテの主力選手って誰だろう?

 04年アテネ、08年北京、12年ロンドン、16年リオの各選手を調べるだけでも、ちょっと懐かしい気分に浸れるんじゃないだろうか。ということで角中以外も、リオからアテネにさかのぼって投打2人ずつ、好成績選手を調べてみた。

<2016年:リオ五輪>※レギュラーシーズン3位

石川歩
23試合 14勝5敗162.1回104奪三振5完投3完封 防御率2.16
※最優秀防御率

益田直也
61試合 3勝2敗21H 14S 59回36奪三振 防御率1.83

鈴木大地
143試合 打率.285 501打数143安打 6本塁打 61打点 3盗塁

デスパイネ
134試合 打率.280 496打数139安打 24本塁打 92打点

 野手はロッテから去った2人なのが少々切ないが……石川、益田という現在もロッテの屋台骨を支える2投手が好成績を残している。この2人以外にも涌井秀章が10勝をマーク、当時先発だった唐川侑己が6勝6敗で防御率2.84、南昌輝が防御率2.74で16ホールドをマークするなど、投手力が充実していたことがよくわかる。

<2012年:ロンドン五輪>※レギュラーシーズン5位

成瀬善久
28試合 12勝11敗200.2回122奪三振5完投2完封 防御率2.83
※リーグ最多投球イニング

益田直也
72試合 2勝2敗41H 1S 75.1回57奪三振 防御率1.67
※新人王

根元俊一
133試合 打率.279 512打数143安打 9本塁打 41打点 6盗塁 40犠打
※リーグ最多犠打

岡田幸文
131試合 打率.262 431打数113安打 0本塁打 18打点 23盗塁 25犠打
※ゴールデン・グラブ賞

 投手陣を見ると成瀬がエースで、薮田安彦や小野晋吾、渡辺俊介もいて懐かしすぎる。なおこの年、唐川は8勝2敗、防御率2.66の好成績を残している。角中とともに益田、唐川も「五輪イヤーに強い」と言っていいのかもしれない。

 野手を見ると“統一球時代”の影響もあり、2ケタ本塁打に到達したのは井口資仁(現監督)だけ。ただ根元は最多犠打に加えて9本塁打と意外とパンチ力があったプレースタイルを象徴する成績だし、岡田に関しては守備で319刺殺をマーク。2年連続のGG賞獲得で「残念そこは岡田だ」なんてスラングも生まれた。