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「目立たないけど、いないと困る」恩師が語る小深田大翔と、息子とはじめた“こぶかた応援団”

文春野球コラム ペナントレース2021

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 皆さんこんにちわっ! こぶかた応援団長のかみじょうたけしです。東北楽天ゴールデンイーグルスの小深田大翔選手の応援団の団長をやらせてもらってますっ。押忍っ! 誰に頼まれた訳でもなく、本人の許可もとっておりません。押忍っ! 勝手に自分で作った応援団。

 団員は、8歳の一人息子はるき少年ただ1人。団員の心得は2つ。

 心得1、試合を観ながらこぶちゃんをひたすら応援する事。
 心得2、毎晩こぶかたクッションと一緒に寝る事。

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 以上でありますっ。押忍っ!

©かみじょうたけし

 昨シーズンはルーキーイヤーながら開幕一軍を掴み取り、序盤は代走や守備固めでの出場、7月に入るとスタメンに抜擢され、気づけば遊撃手のレギュラーをシーズン最後まで死守したこぶちゃん。112試合に出場し規定打席到達、打率.288はリーグ6位の成績。ライオンズの平良海馬との熾烈な新人王争いには敗れはしたが、54試合に登板し、防御率1.87の平良投手から6打数3安打の打率.500なんだから、これはもうほぼ新人王ですよ。なーんて。

 2年前のドラフト会議直後の11月。南海難波駅前で偶然、彼を見かけ声をかけた。あの時のなんとも言えない照れ笑いに心をくすぐられ、春の沖縄キャンプ、塩川達也コーチのノックに必死に食らいつくひたむきな姿に引き込まれた。それからというもの試合を観ながら、

「こぶちゃん頑張れー」
「こぶちゃんのインコース打ちは日本一やぁ!」
「こぶちゃん、こぶちゃん、こぶちゃーん!!」

 息子「こぶちゃんて何?」

 こぶちゃんいうのはやなぁ……

 いつの間にやら息子も

「こぶちゃん! 頑張れー」

 こぶかた応援団がここに誕生した。

小深田大翔

「入学してきた時はプロなんて絶対にないです(笑)」

「守備、走塁に関してはいいものを持っているので、ある程度打てたらプロでもやっていけるんやないかと思ってました」

 そう、昨シーズンのこぶちゃんの活躍を振り返ってくれたのは、高校時代の恩師、神戸国際大学附属高等学校野球部の青木尚龍監督だ。こぶちゃんの事ををもっと知りたい、という私からの連絡にお忙しい中、時間を作ってくださったのだ!

「入学してきた時はプロなんて絶対にないです(笑)。ただ彼が練習で手を抜いている姿は一度も見たことがないんです」

 ーーまじめな選手だったんですね?

「まじめじゃないです。くそまじめ(笑)」

 自慢の我が子を語る青木監督の声色はニコニコしていた。

「身体は小さいですが、強かったですね。どこが痛い、怪我したなんて聞いたことがないです」

 確かに、昨シーズン、コロナ禍で調整がうまくいかなかった選手は少なくなかった。ましてやルーキーシーズンで遊撃手のレギュラーを最後まで勤めあげるとなると、身体の強さは相当のものだろう。

「カウントで細かくサイン出しても全部意図をくんでやっくれるんです。仕事たのんだら納期までに完璧に仕上げてくれる。小深田工務店なんですよね。絶対次も仕事頼むでしょ?」

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